カテゴリー別アーカイブ: メンタルヘルス

メンタルを守るラインケアーリエゾンモデル

メンタル不調を予防する「リエゾンモデル」

■メンタル不調を予防する「リエゾンモデル」

今回は、健康管理のお話からです。

セルフの健康管理ではなかなか健康を保てない人が多い。
そこで健康診断が行われます。

糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病が発症する前に、健康チェックします。
これは診断の数値に異常が出た時に対策をほどこすものですので
定期的に診断するだけでは「異常化」は防げません。

そこで、保険士や栄養士が、食生活の見直しや、運動の指導などで
予防措置をとることは当然の流れになってます。

しかし、メンタル不調に関しては、まだ企業の予防対策は十分といえません。

「ストレスチェック」を行う企業は増えており、それ自体は大事なのですが、健康診断と同じです。
「軽い発症」を発見し、対策をとるものですから「軽症」を「重症化」させない対策です。
「重症化」を予防するともいえますが。

つまり「メンタルチェック」だけではメンタル不調の「軽い発症」は防げません。

そこで必要になるのが「メンタルチェック」の前の「予防」です。
健康診断でいえば、食生活の見直しや、運動の指導にあたるものです。
早期発見して最小限に留めるか、問題を未然に防ぐのです。

「コンサルテーションモデル」という治療体制があります。
問題が生じてから対応する制度です。
職場に発生してしまった火事を消す「消防夫」というような役割です。

それに対して「リエゾンモデル」があります。
問題が生じないうちに、専門家が 職場巡視して、よりストレスの原因を早く見つけて
職場の改善を要求したり、ストレス・マネジメントを指導したりします。
このような機能は、リエゾンモデルといい、消防検査官の役割といえます。

企業はこのような視野に立って、特にメンタルの問題を予防するようなシステムを早急につくっていく必要があります。

企業は保健室や医務室を設置し、産業医はもちろん、常勤の看護師か保健師を確保します。
また従業員としての経験があり、ビジネスの実態を理解している産業心理カウンセラーもいれば理想です。

メンタルヘルスに特化する必要はなく、広く従業員 たちの心身の不調に対して初期対応をするのが第一の役割です。
また不調になる前に、不調の種になりそうな原因は産業心理カウンセラーが指摘しなければなりません。

それを管理職に伝え、管理職には心理カウンセラーの素養も持ってもらいます。

このような管理職を対象にしたセミナーを取り入れている会社は次第に多くなってます。

このセミナーでは、うつ 病とは何か、その病前性格には何があるか
などの知識を学ぶこと ができるにに加え、起さない職場環境の構築を学びます。

このようなセミナーに加えてワークショップ形式の研修も必要になってきます。

その理由は、うつ病候補と思われる部下にどのように声をかけるか
復職後の部下にどのように接したらよいのか、など結局のところ
コミュニケーションの仕方が重要になってくるからです。

また、うつ病候補にさせない、普段からの職場の対応はとても大事になってきます。

そのためには、三人一組になって、部下役、上司役、評価役などのロールプレイをする方法が最も効果的です。

このような参加型のワークショップを導入している企業は まだ少ないので
従業員を病気にさせない、不幸にしないのはもちろん、
生産性をあげ、高い競争力を持つという観点でも、早急に導入するべきでしょう。

産業心理カウンセラーの仕事は、うつ病になりかけのストレスが高い社員の悩みを解決し
職場に元気に戻ってもらうことが主要業務です。完全にうつ病になってしまったら、産業医の出番となります。

つまり産業心理カウンセラーの役割は、マイナスのマインドをゼロに戻す事です。

実はカウンセリングを受ける従業員はごく一部で、大部分はメンタル不調を抱えたまま
就業してしまっているのですが、せっかくカウンセリングを施して、職場に戻ってもらっても
メンタル不調が再発してしまうことが多いです。

メンタル不調が再発するのは、一般的に職場に「ネガティブマインド」が蔓延し、放置されているからです。

職場に蔓延する「ネガティブマインド」

■職場に蔓延する「ネガティブマインド」

そこで、第一ステップの一つ目「メンタルヘルスチエック」の次は、
二つ目、職場に普通に存在する、「ネガティブマインド」を追放することから始めます。

私の定義する、職場の生産性を阻害するネガティブマインドは、5つです。

 不安
   アンガー
   ジェラシー
   ラベリング
   心理的リアクタンス

まず、不安からご説明します。

不安には二種類があり、まず、自分にはできない、能力が無いのではないか
という自分内部への自信のなさ、不安。

また、本人は自信があるが、周囲が自分の能力を低く見ているのではないか
バカにしているのではないかという、外部への不安です。

その両方の不安を抑えるワークを受けていただきます。

二つ目のアンガーは、怒り。
これは心理学で「アンガーマネジメント」という用語が普及してますので、あえて英語を使ってます。

怒りが一時的に、仕事に生産性に寄与することがありますが、慢性化している職場は低落していきます。

ここでは当然、「アンガーマネジメントワーク」を受けていただきます。

三つ目のジェラシー、これは嫉妬の意味ですが、嫉妬心は男女間で使われることが多いので
区別するために、あえて英語にしてます。

アンガーマネジメントは有名ですが、ジェラシーマネジメントは提唱されてません。

私はこれを、積極的に訴えているものです。

なぜならば、不安や怒りは誰にでもわかりやすく意識できるもので
誰でもそういった心理は抑えたいと意識しているものです。
そして、私は不安だとか、私は怒っているという気持ちは、相手、人に伝えやすいものです。

しかし「私は嫉妬している」とは人に言いにくいものです。
それどころか、自分の心の内部でさえ、それを認めることは嫌なものです。

嫉妬心で人の足を引っ張る行動は、聞けば誰でも思い当たるものですが、日常の業務では、あえて無視されてます。

ですので、職場のジェラシーの存在は、非常にタチが悪いものです。

ジェラシーを受ける人は、やる気をなくします。能力が削がれます。
ジェラシーする人は、成長の機会を失います。心が暗く黒くなります。

また、確実に企業に貢献するようなプロジェクトや、人材が、
ジェラシーによって葬られていくようなことは、無くしていかなければなりません。

4番目はラベリング。ネガティブな自動思考のことで、
グーグル社が「アンコンシャスバイアス」と呼んで有名になりました。

リーダーの思い込みによる、先入観、偏見的評価で、メンバーのモチベーションが下がっていくことです。

彼はまだ若いから、、大学は2流だから、、
もう定年近い人だし、、女だから、、子育てしているから、、

まず、思い込みのレベルの仕事しか任せないので、メンバーの成長機会が失われていきます。
結果として、組織としての成長がストップし、業績が上がらなくなります。

適正な評価が行われないので、前向きになれず、従業員がやりがいを失い
新たな仕事に挑戦しようと思わなくなってしまうのです。

チーム内の心理的安全性が保たれなく、互いに言いたいことが言えず、チームとしての一体感が失われ、
組織が一丸となって取り組むことができなくなってしまいます。

五番目、最後は心理的リアクタンスです。
心理学に興味がある方以外は、初めて聞く言葉かもしれません。

これは、人間の自由を求める心です。
それは行動の自由なのですが、自分がどうするか決定するのは、人からの指示ではなく、自分の心でありたい。
その行動の基準を、他者に決定されたくないのです。
要するに、命令されたくないということです。

例えば、他者から自分に対して、求めてもいないアドバイスがあって
それにカチンと反発を感じたら、それは心理的リアクタンスです。

それは素晴らしいアドバイスであればあるほど、強くなります。

なぜならば、素晴らしいほど、自分はそのアドバイスを受け入れざるおえない可能性が高まり、
自分の行動の自己決定権が抑圧されるからです。

まったく的外れで論外のアドバイスの場合は、受け入れる可能性はゼロなので、
心理的リアクタンスは生じません。しかし、呆れたり怒りが湧いてくるかもしれません。

またもちろん、自分からアドバイスを求めている場合は、基本的に心理的リアクタンスは生じません。
例外はあるかもしれませんが。

つまり、仕事を進めるにあたっての、人からの素晴らしいアドバイスを、
素直に受けいるれることができないことは、業務上、非効率です。

またアドバイスをした方も、明らかに的確な良いアドバイスをしているのに、
聞き入れてもらえなかったら、その人に不信感を持ってしまい、人間関係に悪影響が出ます。

まず、その心理的リアクタンスという、人間心理の存在を知ることが大事です。

ちなみに、なぜこれだけ「心理的」を頭につけるのかと言えば
「リアクタンス」だけなら、電気回路の用語だからです。

この5つを動機として行われる行動は、大部分が、企業の経済活動の観点では、不合理な行動です。

実は、これらの不合理は、心理学的には、ほとんど個人の心理として合理的と言えるのですが
あくまで企業人としての経済からの観点では不合理なのです。

行動経済学という、人間の不合理な活動を研究する分野がありますが、まさにそのものです。

ではこれら5つを、職場において、どう克服、追放していくのか?

不安の追放、怒りの追放は、先に申し上げた通り、改善プログラムがあります。

しかし、ジェラシーと、ラベリング、心理的リアクタンスは、
実は、特別なプログラムを施す必要がない、結構簡単なことでして
まず、その存在を知る、認める、共有するだけで、多大な効果があります。

職場の幸福を阻害する要素は、以上、5つのネガティブマインドに加え、ハラスメントがあります。
主に「セクハラ」「パワハラ」「モラハラ」があります。

ハラスメント対策も当然のことです。

以上、5つのネガティブマインドと、ハラスメントを追放するか、
軽減するだけで、職場は霧が晴れたように明るくなります。社員同士の共感、共有感が高まります。

メンタル不調やうつ病は、漠然と「職場のストレス」が原因であるとされます。
ほとんどそのストレスの原因は、長時間労働か、上司との会話にあるとされるます。
そして、ストレス状態になってから「ストレス解消」のコーピングが対処療法されるばかりです。

ストレス対策をいくら施しても、また再発するか、新たにそれまでメンタル不調に陥らなかった人が発症したりします。
それは職場のストレスの様々な原因を細分化せず、一つひとつつぶすことをして来なかったからです。

そのようなネガティブマインドを根絶できなくても、常に最小限に留めておかないと、
社員の幸福化、及び「フロー時間」の増大化はとても無理でしょう。

多くの企業が、ネガティブマインド追放に動いて欲しいものです。

 

「ラインケア」関連ブログ

メンタルを守る「ラインケア」ーサイン
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メンタルを守るラインケアーカウンセリング

ラインケアを扱ったブログ3本目になります。
今回は心理カウンセリングの素養を使った対話法が多く出てきます。

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対人関係改善に用いる3つの技法

■対人関係改善に用いる3つの技法

職場のメンバーの心を配慮した対話を心がけることは、
職場のメンタルヘルスを守るために必須のことです。

では、心に配慮するとは具体的にどういうことなのでしょうか。
そのための一つの
キーワードが「カウンセリングマインド」です。

その基本は
「信頼関係をつくる」
「共感的理解を示す」
「受容する」

つまり、指示したり強制したりするのではなく、相手を認め、一緒に考えるということです。
カウンセリングやコーチングには、共感の示し方や座り方、聞き方などに細かなテクニックがあります。

プロカウンセラーが対人関係改善に用いる3つの技法を確認してみましょう。

1 共感

共感とは相手の立場に立って気持ちを聴くということです。

部下:「課長、僕にはこの職場が合わないです。給料も安く、仕事もきついんです。 苦しいんです」。

ダメな事例
課長:「そんなことはない。給与は組合の調査でも世間相場を上回っているのだ。
わがままいうな。まだ一人前に仕事もできないくせに」。

良い事例
課長:「そうか、君は職場をそんなふうにみているだね」。
         (その部下 の考え方、感情を聴いていきます)

2 受容で聴く

受容とは批判的、審判的態度にならずに、まず、あるがままに受け止めるということです。
そうしないと本当のことを話すという大事な意味が続かないからです。

部下:「課長、遅刻してしまいすみません。実は、早めに家を出たのですが、
途中工事中で、すこし遠回りの道を通ってきたものですから……」

ダメな事例
課長:「いい加減にしろ。先日は朝の電話で親戚の法事だといって休んだ。
今日は工事か。いい加減、嘘をつくな。正直に言え。」

良い事例
課長:「そうか、工事中か。それで遅れたのか」
(刑事のような態度をとらずそのまま受け入れる)


3 自己一致で聴く

自己一致とは、誠実に聴くということです。
相手を騙したり操作するためではなく、本音で聴くということです。

話を聴きたくない部下や、裏表のある部下もいるでしよう。
本音では「こんな人の言うことは聴くのも嫌だ」という気持ちが あります。
そういう本音の気持ちも大事にしながら聴くのです。

部下:「課長は僕のこと嫌いなんじやないですか。わがままだから、
いつも 迷惑をかけているから。どうなんですか」。

ダメな事例
課長:「そんなことないよ。君のこと好きだよ」(本当は嫌い)

良い事例
課長:「僕は君が遅刻してきたり、無断で会社を休むことはルール違反 だから、不愉快に思ってます。
しかし、だからといつて嫌ってはいません。 大事な職場の仲間と思つています」
(率直な正直な気持ちにそう)

重要なのは、「カウンセリング.マインド」という言葉のとおり、相手に関心を持つ「心」です。
相手への関心がないままにスキルやテクニックだけ真似しても、かえって逆効果になります。

もし、部下がウソをついているのが確実だとしたら、
なぜそんな「ウソをつかなければいけない気持ち」になったのか感じてみましょう。

そして、リーダーが自分自身に対して問いかけをすることです。

「この部下のことを知ろうと思っているのか」。
「単なる表向きだけのポーズではないか」。
「部下の力を信じているのか。その力を引き出したいと思っているか」。

職場のリーダーが、こうした自問をし続けるがカウンセリングマインドにつながります。
「違う」と思ったら、そう思えるよう努力しなくてはなりません。

ところで、カウンセリング.マィンドを持つことは、部下だけでなく
リーダー自身にとつてもプラス の効果があります。
部下の話をきちんと傾聴できているリーダーは、そうでないリーダーよりも、
精神健康度、職場適応度、職務満足度ともに良好なスコアを獲得していました。

命令したり、語りかけるよろ、聴くことが、リーダー自身のメンタルへルスには、よい効果をもたらすようです。

逆にいうと、パワハラをしている上司は、部下だけでなく本人にとってもマイナスだといえます。

「聴く力」チエックリスト

■「聴く力」チエックリスト

「聴く力」を確認しましょう。低いままで聴いてもその効果は半減しています。
これをよく認識し、訊くさいの「ベからず」を意識しながら、まずは「傾聴」の意義と効果について理解しましょう。

ない

時々
ある

いつも
ある

1.

目や表情を見ながら話を聴いてい る

1

2

3

2

話がまどろっこしいと、つい結論 を早くと急かしてしまう

3

2

1

3.

話を聴く時はしっかりとうなずいて いる

1

2

3

4.

話を聴きながら、途中から遮り自 分の意見を話す

3

2

1

5.

話を聴きながら、都合の悪い話に なると話題を変えることがある

3

2

1

6.

話を理解できないときは、話し手 が何を話そうとしているのか、説 明を求める

1

2

3

7.

話を聴いたら、内容を要約しフィ -ドバックする

1

2

3

8.

話を時々聴かないで理解したふり をすることがある

3

2

1

9.

部下の言葉ではなく「心』を聴く よラにしている

1

2

3

10.

話の途中で「忙しいのであとでと言ってしまうことがある

3

2

1

 1013    問題です。改善に努力しましょう
 14 ~17    大いに改善の余地ありです
 18 ~ 21    もう少し努力してください
 22 ~ 27  一よく睫いていますが、なお努力を
 2830    良好です。継続してください

言ってはいけない「べからず集」


■言ってはいけない「べからず集」

●プライバシーについて

以下のようなことは聴かないようにしましょう。
いずれも、職場とは閲係のないプライバシーです。
もちろん、
本人が進んで話すのを聴くのは問題ありません。

「お父さん、何やっている人?」
「お母さんは?」
「兄弟は?」
「恋人いるの?」
「誰と住んでいるの?」

ただ、私生活の悩みがメンタル不調を呼んでいる場合があります。
その場合、本人から積極的に話してもらえるようやんわり聴いてみます。

「睡眠不足の場合、共通する悩みとして介護や子育てで睡眠時間が減って辛い
ということがよくありました。いかがでしようか?」
「何か仕事以外で楽しむ余暇を持っていますか?」

なお、プライべートについて訊く際、「ダイバーシティ」を常に意識することも必要です。
かつての日本企業は均質な価値観でした。
上司は部下の結婚の世話をするのが当たり前で、家族のこ
ともよく知つていました。
しかしいまは、さまざまな考え方や価値観の人々で構成されている
ことを意識してくださ

●「こんな言葉」が部下の心を傷つける

以下のような言葉はなるべく使わないようにしましよう。

批判する
「なんで約束を守らない

比較する
「皆、頑張っているのだから、君も頑張ろう」
急がせる、威張る
「早く結論を言え」と結論を急がせる。
脅迫する
「こんな勤務では、昇格もしないぞ」
決めつける
「うつ病 だから、医者にかかりなさい」
飲みに誘う
「飲めばスッキリする」
無視する
見ないふりをするなど。
自慢する:
「自分の若い時は気力で乗り越えたよ」など。

●とってはいけない態度

「なんでも打ち明けて」と言われても、部下はあなたの態度をよく見ています。

以下のような態度の時は、心の悩みを聴いてもらえないと思い、
相談しようという気持ちをためらってしまいます。
「あほうとり」上司といいます。

あくびをする:
あなたの話はくだらないといメッセ
ージになります。

ほおづえをつく:
ほおづえをついては、部下に「他のこ とを考えていて、
話を聴いてくれていないのでは」と思わせてしまいます。

腕を組む:
対決姿勢に映ります。「どうだ、お前の言うことは聴かないぞ」
というボデ ィランゲージになつて伝わります。

時計を見る:
チラチラ腕時計を見られると、次の予定があるのだなと思わせ、
気遣いのため途中で話を中断してしまいます。

リズムを刻む:
貧乏ゆすり、あいづちが単調、指でテーブルをたたくなどの行為です。
これも
ィラィラ感が伝わり、コミュニケーションの妨害になります。

聴いても話したくないということがあれば
「もし〇〇が問題なら、この人に話をして」
というように専門家の述絡先を紹介します。

部下の裁量レベル

■部下の裁量レベル

「カラセックのモデル」では、
人は裁量権を与えられると生産性が上がるとされてます。

それは、その裁量権のレベルが適切であればです。

「フロー」が起こるのは、自分のスキルとチャレンジのバランスが
絶妙にあった時に発揮されるといいます。

ですので、その裁量を部下に与えるにあたって、十分に話しあい、
本人が最もチャレンジしたくなるレベルまで引き上げ、
当然、無理そうなレベルは与えないようにします。

部下に決めさせるのが良いです。

でないと「裁量の幅が大きくなると不安が大きくなり、生産性が低下する」
ということになりかねません。

そして任せた仕事の成果が達成できなかったら、それはなぜなのかを確認します。
その 仕事が、その部下に興味がないことだつたのか。
しかし、興味がないからといっても、それをやってもらわなくてはいけない時もあります。
逆に、やりたいといっても任せ られない時や、
興味はあつても本人には負荷が大きすぎる場合もあります。
これらの 点について、しつかり話を聴いていくことです。

ポイントは、仕事の負荷については「環境」
裁量 については「やり方」で聴きます。

仕事の負荷

良い事例:「要請された仕事量は期日までに達成できますか?」
ダメな事例:「要請された仕事量は必ず達成してね」

裁量について

良い事例:「仕事は自分の裁量でコントロールできる部分が多いですか?」
ダメな事例:「言われたとおりやってね」

認知療法的なアドバイス

■認知療法的なアドバイス

部下に「周いとうまく話せない」という悩みがあったとします。

その場合
「みんなストレスが溜まっている。じっくりと愚痴を聞けるタイプこそモテるよ。
自分のことばかりぺらぺらしやべるようなやつは、逆に嫌われてしまう。
しやべり上手より、聴き上手のほうが圧倒的に好かれるよ。皆、自分の話を聴いて欲しいんだ。
聴くことは得意そうだから、いまのままでいいのでは」
などというようなアドバィスを、悩みを聴いた後で悩むことに意味がないことを納得させます。

「プレゼンであがってしまう」という悩みがあったとします。

その場合
「プレゼンであがってしまうは、そんなにまずいことなのか」
「君は人が発表であがってしまうのをみて、いつまでも覚えているかな。
すぐすれば忘れてしまうよね。あまり上手に発表する友達に親近感をみんなが感じると思うかな。
あがってしまう人のほうが親近感が湧かないか。」
などと、話を聞きながら、悩むことに意味がないことを納得させます。

勇気づけの声かけ

■勇気づけの声かけ

「アドラー心理学」では、すべての不適切な行動の原因は、
勇気や自尊感情を失っているからと考えています。

そして、普段から信頼関係をつくることが基本になります。日頃からマネジメントをして、
よく部下を見ているからこそ「貢献
協調努力」ができるのです。
自分自身をしっかりコントロールできる上司が、
部下を職場で能力が発揮できるように、勇気づけることができます。

勇気づけられると、人は自尊感情が増加し、精神健康に良い影響を与えます。
これに対して励ますことは、一見、部下にプラスのエネルギーを与えているようですが、
上司であるあなた自身は棚に上げて、部下のみを特定の方向に動かそうとすることです。
他人事になってしまいます。
励ますことは簡単ですが、勇気づけることはリーダー自身が範を示さないとできません。

期待されるとプレッシャーになりますが、勇気づけられると、
チャレンジしてみようかというモチべーションを増加させることになります。

勇気づけるということは「部下の心を操作すること」ではありません。
自分自身にたくさんの勇気づけをした上司が、
部下に自分自身を勇気づけるようになる影響を与えることができるのです。

具体的には、上司部下の関係を「支配による関係」ではなく
「信頼と勇気づけによる関 係」にすることです。
こうすることにより、存在を認め「部下の自尊感情欲求」を満たす ことになり、
部下の活力、熱意、集中力を向上させることにつながります。

自尊感情欲求が満たされないと、ストレス耐性が減少して、メンタル不全への引き金に なります。
これが、勇気づけの声かけによるメンタルヘルスが必要な理由です。


ここまで読んでこられて、人間を動かすには、いかに心を大切にすることが大事か、
そして、これからの職場リーダーには、
心理カウンセラーの素養も必要であると納得されたのではないでしょうか?

 

「ラインケア」関連ブログ

メンタルを守る「ラインケア」ーサイン
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参考
「メンタルタフネス経営」
「メンタルヘルスマネジメント入門」
「IT技術者が病まない会社を作る」
「メンタルヘルス実践ガイド」

メンタルを守る「ラインケア」ー聴き方・話しかた

管理職に求められる行動12のポイント

▪️管理職に求められる行動12のポイント

リーダーの仕事、それは、誰にどのように何をさせるかを判断することです。

どのような業務を与え(業務付与)、その上で部下がやる気をもって
仕事を継続させていけるか、これをどう見極めるかが重要です。

では、職場のリーダーは具体的にどのようなことを意識すべきなのでしようか。

ひと言で言えば、業績や成果だけでなく「職場のメンバーの心のあり方」
にも関心を向けるということです。

多くの管理職、リーダーは典型的な「業績•成果志向」 であり、
一方でメンバー個々人の気持ちへの配慮が不足しがちです。

そんなリーダーの下、組織は一時的 に業績を伸ばすことに成功します。
ただ、この傾向が強すぎると、短期的には成功しても、
長期的•持続的な成功につながることはほとんどありません。

こういった上司の下で中長期的に起こりがちな職場の課題として、面従腹背型部下の増加、
燃え尽き型部下の増加が起こり、どちらもメンタル不調予備軍です。
もう、なっているかもしれません。

部下の気持ちを配慮し、業務付与した後は、部下の仕事ぶりについてのサインを観察します。
いきなり業務付与するだけでは、何のためにどうしてこれをやらなければいけないのか わからず、
モチべーションが落ちてきますので、目標についても上司と部下で話し合い、 設定していきます。

その上で、部下の行動を見る必要があるのです。

部下のメンタルヘル スのサィンを把握することは、日頃から部下の性格や特性を把握しながら
コミユニケーションを行い、適切なマネジメントがなされていてはじめて可能となります。

前回ブログ「メンタルヘルスを守るラインケア入門」で、
部下のメンタル不調を「観察」するための、多くのサイン例をあげました。

 https://japan-business-flow.com/well-being-blog18/ 


従業員をメンタル不調から守る要は、職場の「ラインケア」です。

その「サイン観察」は、メンタルヘルス維持のために管理職がやらなければならない行動の最初にあたります。


管理職に求められる行動12のポイント

見る

1.サインを見る

2. 能力を見る

3. 人間関係を見る

話す

4.「環境」について声をかける

5.「やり方」について声をかける

6.「プラィべート」について声をかける

聴く

7.長時間労働の時に聴く

8.異動後に聴く

9.人事考課後に聴く

対処する

10.安全配慮をする

11.健康相談を勧める

12.本人の拒否や緊急性のある場合に対応する

 

サインに気づいたら

サインに気づいたら

サインに気づいた場合は、まず必要に応じた声掛けをしましょう。

声をかけても「いえ、何でもないです」などと詳細に話をし てもらえない可能性もありますが、
その場合は無理に聞き出そうとしてはダメです。

ただ「私は○○さんのことを気にかけています」
「話したいと思ったらいつでも話しかけてほしい」という言葉と気持ち伝えてください。

また、一時的なものなのか、慢性的なものなのかによってもその後の対 応が変わってきますので、
声をかけないまでも、状況は注視したうえで、 変化がみられないようであれば
1週間後、2週間後などに再度声掛けをすることが大切です。

さらに、声をかけた際の基本的な姿勢として「聴くスキル」もぜひ意識 していただきたいです。

カウンセリングの勉強をされた方など「傾聴」という言葉を聞いたこと がある方もいらっしゃるかもしれません。
コミュニケーションにおいて、 言葉を介して伝わるものはほんの一部で、
身振り手振り、顔の表情、話す速度、ジェスチャーなどの非言語コミユニケーシヨンで
伝わる情報のほうがはるかに多いといわれています。

これらの情報に注目しつつ、相手に対し好意的な関心を持って聴く姿勢 を心掛けていきたいところです。
ポイントは「共感」です。

そして、「いつもと違う」という状態が2週間継続するようであれば、
産業保健スタッフ(産業医や衛生管理者、保健師、カウンセラー、人事労務担当者)に相談します。

部下の把握

■部下の把握

あなたの部下は、次の3つの項目に該当しますか?

① 貢献:上司が気づかないようなところに気を配り、
全体が成果を上げられるよ うに貢献している
□ハイ □イイエ

② 協調:職場の人間関係を良くするように、上司が気づかないようなところで

協 調している
□ハイ □イイエ

  努力:職場で成果を達成しようとして、陰日向なく、地道にコツコツと
仕事に 努力している
□ハイ □イイエ

それぞれの項目で、思い当たることがあつたら認めて声かけしましょう。

①があったら「貢献してくれていますね」
②があったら「職場がうまく協調できるよ うにしてくれていますね」
③があったら「成果の達成のために努力していますね」

と伝えてください。

職場で自分の存在感を感じることが、承認欲求を満たし、メンタルへルスを向上させます。
上司のこのような言葉で、うつ状態が大きく改善した人は多いです。

多くの職場では、メンタルヘルスの症状チェックが目的となり先行しすぎると、
「見つかったら職場から排除される」といった、
「犯人捜し」の職場になったような心配と怖れを与えてしまうこともあります。

その結果、モチべーションが低下し、本人はメンタル不調を隠し、
自己防衛的になつてしまうことがあるので注意が必要です。

しかし、しっかり話を聞き、相談に気軽にのってくれる上司は、
ストレスの原因どころ か逆に職場ストレスへ緩衝剤なり得ます。

クラッシャー上司と健康に良い上司

■クラッシャー上司と健康に良い上司

ストレス調査で「上司との人間関係が最大のストレス」だという話がよく出て きます。

部下を潰す「クラッシャー上司」が存在します。

品格や人格ではなく業績中心の評価で管理職になった方が多く、管理職としての適性ではなく、
個人成績で評価され、論功行賞的に昇進し部下を与えられた方です。

また、個人成績は平凡なのに、派閥勢力ために、上司受けのいい人が
実力や部下の評価とは無関係に昇格することもあります。

このような上司は、権力への強い欲望を持ち、部下を踏み台にして上昇しようとします。
減点になるようなことを怖れ、ミスが起これば部下を罵倒するばかりなので、正常なコミュニケーションがとれません。

従業員がうつになりやすい会社の経営者や、部下をうつにしてしまう上司には、共通する特徴があります。

① 相手の話を聴かない

部下の話を最後まで聴かずに指示を出したり、判断を下したりする。
あるいは、相手の話のさえぎり「わかった、それはだな」と
途中から自分の自慢話や経験談に変えてしまうようなタイプ。

② 共感力がない

自分の見方や価値観が絶対で、それに合わない意見は聞く耳をもたない。
若手社員に対し、ニ言目には「お前たちのいっていることはわからん」
「黙って俺のいうことを聞け」というタイプ。

③ 一緒に困ってしまう

「そうか、困ったな、どうしよう」が口癖のような人がそう。
これは共感ではなく、ただ単に当事者意識が薄いのだ。

④ 一緒に酒を飲むだけ

「今夜はとことん話を聞いてやる」などといい、本当に聞くだけで何も解決策を示さず、
最後は「お前の気持ちはわかった、とにかくがんばろう」で終わるタイプ。
途中から自分 の愚痴になる人も多い。

この場合、聴いてもらう方が、話しながら自分で解決法を気がつけばいいのですが、
そうでない場合、ただの空回りになります。

⑤ ナルシスト

二代目、三代目のエリート経営者や、若手の抜擢組に多い。
仕事の能力が高い人も多いが、常に関心が自分に向いている。
戦略などの議論は好きだが、従業員や現場、現実の悩みには無頓着でアドバィスもできない。

心の健康に良い理想的な上司像は

①笑顔 ②情 ③実力があるです。

人間の対面コミュニケーションでは、 顔の表情が75%
やはり笑顔です。
そして「情」です。

それでは、部下とうまく話せるかのテストをしてみましょう。


伝える力チエックテスト

                                                                                                    ない  時々  いつも

1.

私は冷静で、相手の心を傷つけず自分のことを相手に伝えることができる

1

2

3

2.

ファミリ一レストランでサービスが悪ければ、良くするよう丁寧に伝えることができる

1

2

3

3.

自分が話をしている時、 他の誰かがし始めたらそれをやめるように言う。ただし 相手の話も最後まで聴く。

1

2

3

4.

職場で不公平なことがある場合、是正するよう求める

1

2

3

5.

私は感情に流されるるこなく自分の意見を 客観的に捉えられる

1

2

3

6.

本心で納得できず、嫌でも、我慢して引き受けることがある

3

2

1

7.

意見の対立する人と同席するときその場 を避ける

3

2

1

8.

私は必要なな時は他の意見を聞き、必要に 応じて人の助けを求める

1

2

3

9.

私はその場の集団の雰囲気に流され自分の意見を変えることがいつもある

3

2

1

10.

私は自分の意見を忙しくてもわかってもらえるように、丁寧に話すようにしている

1

2

3

11.

部下の聒を睫かないで結論を押しつけることがよくある

3

2

1

12.

部下の話を聞かず解決策やアドバイスを進める傾向がある

3

2

1

   20点未満 問題です。改善に努力しましょう
 20 ~ 24点 一大いに改善の余地あり
 25 ~ 30点 一もう少し努力してください
   
31~ 35点  一良好ですが、なお努力を
           36点  一非常に良好です。雄統してください

 

サインがなくても声をかける

■サインがなくても声をかける

メンタルヘルスのサインは、本人も含めて気づきにくいです。
メンタルヘルスの基本 は、サインが出ていなくても、声をかけることです。
上司として求められることは、日常的に声をかけてコミュニケーションをとることです。

メンタル不調になるほど、自発的相談が減ります。だからこそ大事なのです。

サインがなくてもで声をかけるタイミング

① 長時間労働にある部下(労働安全衛生法第66条の8. 9)

② 出向、応援、人事異動、海外派遺後の3ヶ月以内 

  (適応するのにストレスがかかり ます)

③ 人事考課後

成果に対する評価にギャップが生じている。
良いギャップは、さらに 期待に応えようと自分を追いつめることがあります。

④ 新入社員、中途入社社員

⑤ その他、特に配慮を要する部下として職場復帰の部下

質問内容は
「環境」
「やり方」
「プライべート」です。

通常、個人ではコントロールできない環境の問題があります。

したがって、まずは「職場環境に問題はないか」と
訊くことに よって苦労している部下の状態がわかります。

次に、上司の仕事のやらせ方が、業務効率に占める割合が高いのです。
そこで、次に「やり方•やらせ方を聴く」ことにより改善点が見つかります。

次は、「プラィべートな問題で困っていないか」と訊きます。
核家族の今日、どこの家 庭でも、個人的な問題を抱えています。
特に、親の介護問題や、共稼ぎの中での子育て等 の問題を抱えています。
介護や育児でクタクタになっている人は多いのです。

その他にも、 法律、経済、家族友人関係のストレスの可能性もあります。
この3つについて聴いて問題がないとすれば、生産性低下の原因は「健康上の問題」となります。

このように、問いかけていく時は、環境、やり方、プライべートの順序で声をかけます。

ここでは、部下の状態を理解してあげることが重要です。
いきなり「体調は?」と個人の 問題について声をかけられるよりも、

環境、やり方、プライべートの順で声をかけられた 部下は、上司が自分のことをいきなり個人の問題とせずに理解し、
安全配慮をしていると 感じられるので、勇気づけられます。

多くの会社がメンタルヘルス対策で、医師や臨床心理士を採用し配置しています。
しか し疾病性といったネガティブな面の対応だけでは十分ではありません。

まず、環境について問いかけ、改善に結びつけば、生産性が向上します。

やり方につい て問いかけ、リーダーシップが改善されれば人間関係が向上し、モラールアップにつなが ります。
ここが疾病モデルから発生したメンタルへルスでは欠如していたのです。

そして プライべートについて声をかければ、健康問題を医療に結びつけられ、個人の幸福につな がります。
全体的に活力ある、健康的な職場づくりにつながります。

人間と組織が持っているポジティブな面をさらに強化する組織的メンタルへルス対策は経営のプロの仕事です。

医師や臨床心理士は病気の専門家であって、経営のプロではないのです。
つまり適応モデルでは、職場のメンタルヘルスの名医はマネジメントをする管理職です。


●環境トーク例

管理者:  「◯◯さん、今日はとても暑いですね。ところでいつも仕事で頑張つてくれているんだけど、
何か仕事の環境で困つていることはありませんか?」
◯◯さん:「そうですね、全体的にうまくいつていますが、新人の田代さんのスキルがもう少し上がつてくれると、
アウトプットが向上すると思うのです」
管理者:   「その点、少し改善してみましよう」
斉藤さん:「ぜひ、お願いします」


●やり方トーク例

管理者:   「◯◯さん、仕事のやり方で困つていることはありませんか?」
◯◯さん:「そうですね。前工程に準備をしつかりやつてくれると成果が出ると思い ますが」
管理者:   「皆とどうするかを相談してみましょうね、ありがとう」
◯◯さん:「はい。よろしくお願いします」

●プライベートトーク例

管理者:   「◯◯さん、何か仕事の環境で困っていることはありませんか?」
◯◯さん:「別にないです」
管理者:   「では、仕事のやり方で困つていることはありませんか?」
◯◯さん:「忙しいのは、皆も同じだから、別に今の状態で困っていることはありません」
管理者:   「ありがとう。最近、いつもの◯◯さんと違って欠勤や遅刻も見られ、アウトプットも
少し下がっています。何か仕事の環境ややり方で困っている のかなと思って聴いいてみたのですが、、、、」
◯◯さん:「、、、、」
管理者:   「◯◯さん、何か仕事以外のプラィベートなことで困つていることはあり ませんか。
プラィべートなことは個人情報ですから、無理にお話ししなくてもいいです。
        どこの家庭でも、親の介護や育児で夜も眠れないこともあ ります。
もし、そんなことで負担になつていたら、私ではなく、会社の電話相談を利用してみたらどうでしようか?」
◯◯さん:「実は、家庭内のいざこざがあつて困つていたんです」

管理者:   「私が、会社の上司としてできることがあったら支援しますので、話して もらつても結構です。
法律的なことでしたら会社で契約している弁護士を 紹介します」

◯◯さん:「そうですね……。相談に乗っていただき、ありがとうございます。考え てみます。ひとりで悩んでいたので助かりました」

人事異動後シンドローム


■人事異動後シンドローム

先の記載した
② 出向、転籍、人事異動、海外派遺後の3ヶ月以内
③ 人事考課後
の場合の対応に関して紹介します。

♦︎異動があった時に聴く

出向や派遣、転籍、海外赴任、人事異動の際には気をつけることが必要です。

1ヶ月から3ヶ月目に多く、6ヶ月目くらいまで続きます。
ここをメンタル不全発生の注意期間です。
転勤部署に知人がいない場合は、受け入れ先の上司が話し相手になるなどが必要 です。

異動後にメンタル不全になった人のうち、60%くらいの人々が3ヶ月以内に
メンタル不全を発症しています。まさしくハイリスク期間です。

1ヶ月目:
「どうですか。職場環境ややり方については問題なくできていますか」。
適応に全力で向かつている時です。
やり方やルールが変わり、 新しい仕事と人間関係に戸惑ってます。

2ヶ月目:
「順調に仕事を覚えられていますか」
仕事を覚えるために非常に努力する時期です。

3ヶ月目:
「マスターできましたか」と言つて話を聴いていきましよう。
仕事を覚える、 あるいは仕事を覚えきれない人の分かれ道です。

6ヶ月目:
「心置きなく話せる人はできましたか」
「うまくここの文化に溶け込んでやっていけそうですか」
と言つて話を聴きます。多くの人は適応しますが、
出向など でまつたく文化の違う会社に入ると、
肌に合わない人が出てきて不適応になってしまいます。

これらを訊き話を聴くことで、部下がこのシンドロームを克服できなかったのはなぜ なのかを理解します。
仕事の仕方が合わなかつたのか、仕事が、部下 にとつて興味がないことだつたのか。それとも人間関係か。

連日の歓送迎会などもエネルギーの喪失になります。これらを昼休みに行うなど の工夫も良い結果を生みます。

今やっていることが面白いか、話を聴く

課長:「どうですか、今やっている仕事は面白いですか?」
部下:「はい、大変面白いです。覚えることが多くて大変ですが……」
課長:「そうですか。何かわからないことがあったら何でも訊いてください」

部下のやりたいこと、 部下の想いと会社の想いが一致しているのか一致していないのかについて
話を聴いておくことは重要です。ここが一致していると、辛い仕事にも耐ぇられる希望が湧いてきます。
そこで、楽しく仕事ができているか、仕事の完成度はどうか、やりがいはあるか、などに ついて話を聴いていきます。

目標については、今と将来のものについて聴いてみるといいでしょう。
付与される仕事 が、部下にとって好きか、それとも合わないと感じているのか。また、部下の能力は十分か、なども確認します。

♦︎人事考課後に聴く

昇格したのに元気がない時

おめでとう。何か昇進してから少しいつもらしくないですが……。心配ごとでもあるのですか?」
と言って聴きます。代表的な「昇進うつ病」の傾向がないか注意します。


昇格したくないのに昇格した時

例えば、「先日テレビを見ていたら、今の若い人の中には昇進を望まず、マイペースで仕事をしたい
という人が多くなつているとありました。逆に出世を追い求 めるのが生きがいという人もいます。
人それぞれですね。ところで、率直に今回の昇進をどのように思っていますか」と言つて話を聴きます。

聴くシチユエーション

昇格後なるべく早く、2人でゆっくりと話ができる時間と 場所を用意して話を聴きます。

聴く際の留意事項

新しい変化には、必ず「希望」と「不安」がセットになって出てきます。
メンタルヘルスで「昇進うつ病」が懸念されるような場合は、
「不安」のみ が大きく心を占拠します。ここに注意して話を聴きます。

期待していたのに昇格できなかった時

「最近はどうですか。私も人事の昇格で自分の期待どおりいかずくやんだり、
人事を恨んだりしたことがぁりました。人事発表を見たけど、どうですか。
期待していたのにがっかりしていませんか。これにめげずにさらに精進しましょう」と言って話を聴きます。

「昇進停滞症候群」は、どの職場でも発生する問題です。
「ふてくされて攻撃的になっていないか」「仕事が投 げやりになっていないか」について話を聴きます。

聴くシチユエーション

人事の発表後少し経ってから、2人でゆっくり話ができる時 間と場所を用意して話を聴きます。

聴く際の留意事項

努力し昇進を期待している部下ほど、結果的に昇進で きない時は落胆が大きくなります。
理性では受け入れているものの、感情的にはなかなか納得がいかないという心境です。
このギャップに気づかせるように話を聴 くことです。

基本的に、自己評価と客観評価にズレがあると、いつまでも不平不満は 解消されません。
このズレを埋めるように話をします。

降格した時

降格には2つのパターンがあります。懲戒の場合と、もう1つは職責への適合性を考え て人事裁量としてなされる降格です。
その点を勘案して「今度はまたあらたなポジション で努力しましよう」と伝えましよう。

懲戒の場合の訊き方

上司:「あなたにとつては不本意と思いますが、会社の懲罰規定で降格になりました」
部下:「はい、反省しきりです」
上司:「解雇の一歩手前で済んだことは幸いでしたね」
部下:「はい、私もそう思います」
上司:「今後の改善のチャンスと考えたいですよね」
部下:「はい、ありがとぅございました」

適合性を考慮した人事裁量による降格の場合の訊き方

上司:「あなたにとつては不本意と思いますが、降格になりました……」
部下:「一生懸命仕事をしたのに、病気で休んだからですか?」
上司:「会社の昇格規定のルールどおりです。欠勤日数などを含めた総合判断です」
部下:「そうなんですか」
上司:「病気からも回復され、通常勤務ができていますから、まずは負荷の少ない仕 事から始めましよう」
部下:「はい、ありがとうございます。次年度に向けてまた努力します」


復職後1年で期待した昇格がなかつた時

うつ病などで復職後、1年くらいで人事考課が行われることがあります。
この時、部下 は休職を挽回しようとして、本人なりに努力してきます。
多くは、それに対して、期待し た昇格がなく、ガッカリしてしまうことが少なくありません。
昇格させなかったという判断が、人事制度にそつて適切になされていることを、データを用いて説明することが必要です。

抜てき人事があつた時

優秀者は中堅になると周囲の期待も大きく、管理部門、企画部門などへの 抜てきが行われることがあります。
しかし、抜てきが、筆記試験の優秀者、現業での成績優秀者から行われるヶースでは、
抜てき後、付与される業務は、多くはそれまでの経験と人間関係が活かされません。
まして、本書で主張してきた、本人のやりたいこととの一体感 がないと、急速に動機づけが低下することになります。

例えば「おめでとぅ。技術畑で採用され、努力してきた君が、
今度は新しいポジションで仕事をすることになりましたね。君の気持ちはどうですか?」
と訊いてみます。

ハンス.セリエ博士は、過去 に経験したことではなく、
新しい予測できない変化に遭遇した時のストレスを「フユーチャーショック」と呼んでいます。

変化によつて生じる不安等を緩和し、フユーチャーショックによるトラウマ(心的外傷)を防止することが重要です。

その方法が「シフトラーニング」です。

①あらかじめ変化に よつて生じる事態を予測すること、
②それによつて危機に陥らないための方法を学ぶこと が必要です。

部下からの「ホウレンソウ」に対して

■部下からの「ホウレンソウ」に対して

部下の「ホウレンソウ」に対し、いままでの自己流のやり方で「聞く」態度だけではダメです。
同じキクという漢字に「訊く」がありますが、これは尋問風になりよくありません。
「キキ力夕」として大切なのは、腹に落として、共感して部下の話を「聴く」ことです。

そして
「どんなに悪い内容の報連相であっても、伝えてく れたことにまず感謝する」
ことを述べ、どんな厳しいことを言い渡さなければいけない時でも

「 否定的な表現はなるべく避け、を極力前向きな表現にして伝える」
ことが大きなポイントであり、その言語の創造力の差が、管理職の実力の差になるといっても良いのです。

部下から「よく聞いてもらえている」 と評価される聞き方があります。

・部下の目を見て聞く

忙しい上司は、つい自分の作業をし「ながら聞く」ことをしがちです。
その上司の様子を見ると、部下は「関心をもってもらえない」
「ちゃんと 聞いてもらえていない」と感じてしまいます。

・相手のベースに合わせて、あいづちをうちながらきく

相手の話を聞きながら、まずうなずくタイミングを合わせてみましょう。
あなたのペースで話して大丈夫、という安心感を相手に与えることが大切です。
「なるほど」などのあいづちも入れてみましよう。

・相手の話を途中でさえぎらない

何を言いたいのかわかりにくい報告の仕方をされるとつい「どういう ことか」
と途中で口を挟みたくなりがちですが、グツと我慢。
「核心から 話す」「要約して話す」など、話し方の指摘や指導は
聞き終わった後に しましょう。
「話を聞いてもらえる」という信頼感が、部下を素直にさせます。
そのあ とのほうが、指摘や指導も効果が高まります。


以上、ラインケアで、上司が部下に「対応する際の、話の聴き方と、話し方でした。

「ラインケア」関連ブログ

メンタルを守る「ラインケア」ーサイン
 https://japan-business-flow.com/well-being-blog18/

メンタルを守るラインケアーカウンセリング
https://japan-business-flow.com/well-being-blog20/

メンタルを守るラインケアーリエゾンモデル
https://japan-business-flow.com/well-being-blog21/

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参考
「メンタルタフネス経営」
「メンタルヘルスマネジメント入門」
「IT技術者が病まない会社を作る」
「メンタルヘルス実践ガイド」

メンタルを守る「ラインケア」ーサイン

リーダーのリテラシーとしてのメンタルヘルス

■リーダーのリテラシーとしてのメンタルヘルス

企業は、メンタルヘルスをきちんと管理しないと、
巨大な損失を抱えるリスクが明らかになってます。

企業のメンタル障害による巨額な損失
https://japan-business-flow.com/well-being-blog16/ 

メンタルヘルス管理に企業が取り組むのは当然なのですが、
その問題をすべて産業医に任せてしまうとか
身近な管理職が勘による自己流でさばこうとするやり方は、
逆に害になることもあります。

間違いなく必要となるのは、適切な会社の施策と、上司による適切なケアです。

特に企業の急速な成長時は、メンタルへルスへの配慮も同時に行っていかないと、

社員の健康障害はもとより、業務不全や信用失墜の可能性も出てきます。

メンタルヘルスの問題は、人事部スタッフや経営者、産業医だけに課された課題ではなく
組織を引っぱるリーダ―やマネジャー全員が、知っておくべきビジネスリテラシーです。


従来型の医療依存のアプローチに加え、職場適応を促進するため
対人関係を調整するリーダーシップ、すなわち適応型のアプローチが必須です。

さらに、メンタルヘルスの問題は、職場の関係者だけで解決できるテーマではありません。
家庭や地域などのコミュニティが果たす役割も大きなものです。

厚生労働省4つのケア

  厚生労働省4つのケア

ちなみに、厚生労働省(労働省労働基準局は2000年8月に
「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」のなかで

「セルフケア」
「ラインケア」
「事業場内産業保健スタッフ等にょるケア」
「事業場外資源にょるケア」

の4つを 継続的、計画的に実施可能なところから推進していくことを定めました。

その中のひとつ「ラインによるケア」は、管理監督者による日常のメンタルケアのことを指します。

さらに、厚生労働省が2006年に定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の中で
効果的にメンタルヘルス対策を推し進めるうえで、特に必要とされたケアです。

セルフケア

実施者労働者 (含む管理監督者)

ストレスやメン夕ルへルスについての正しい理解を得る

自身のストレスへの気づきと対処ができる。

ライン(による)ケア

実施者管理監督者

.職場環境の把握と改善をはかる
(勤怠状況 や職場環境改善計画立案評価など)

労働者からの相談に対応する

休職者の職場復帰における支援をする

事業場内産業スタッフによるケア

実施者産業医衛生管理者·保健師·人事労務担当者等

メン夕ルへルスケア実施に関する計画を立てる

個人の健康情報の取り扱いを行なう

事業場外資源とのネットワーク形成や窓口

になる

休職者の職煨復帰における支援をする

事業場外資源によるケア

実施者:事業場外の機関·専門家 (医師など)

ネットワ一クの形成 外部機関からの支援を受ける

安全義務違反のリスク


■安全義務違反のリスク

メンタル不全への適切な対処を怠れば、
管理職本人が安全配慮義務違反に問われます。

「安全配慮義務」は、民法、労働契約法、労働安全衛生法などにより
使用者に課せられている労働指揮権に対する債務であり、各管理者に委ねられている義務です
(1975年「陸上自衛隊八戸事件」判決)。

安全配慮義務とは、また、危険を予知して回避する義務でもあります。
つまり、予防義務で予知できるものが対象です。
働く人の安全と健康を守るために具体的に求められるのは、予見可能性と結果回避の可能性です。

例えば「電通過労自殺事件」では、社員の自殺は会社の貴任となりました。
うつ病の原因が会社の過重労働にあり、過労自殺が発生したとされたのです。

判決では、安全配慮義務違反とされました。
つまり、管理職は適切な労働時間管理などを行い、

部下の健康を 守るために必要に応じて業務を軽減しなければならないのです。

なお、安全配慮義務違反で民事訴訟になった場合は、
民法415条「債務不履行」と民法709条「不法行為」及び715条「使用者の責任」が適用されます。

労災の要件である業務起因性の有無にかかわらず適用されます。
管理職にも、権限が委譲されているので 責任が生じます。

現在は、メンタル不全者の病休者数が企業内の疾患の半数を超える状況です。
いまや最大の健康管理の問題は「メンタル不全」です。

社員の安全と健康を守ることは、管理職の重要な責務です。

これらを怠ると以下のよぅなリスクにさらされることになり、その損害も少なくありません。
ぜひ管理職の方々には、他人事ではなく「ご自身の問題」と受け止めていただきたいと思います。

① 訴訟リスク:
弁護士費用だけでなく、そのための対処に多くの人員と時間が費やされます。
会社だけでなく、上司である管理職自身も「業務上過失致死傷害」で訴えられるリスクが出てきています。

② CSRに関するリスク:
訴訟等が発生すれば、会社の評判が大きく揺らぐことになります。

③ 職場のモチべーション低下のリスク:
職場全体のモチべーションが低下し、生産性も下 がります。

その貴任は管理職でに降りかかつてきます。

④ 管理職自身のメンタルリスク:
メンタル不全の問題が職場に起きると、 管理職自身も大きなストレスに巻き込まれます。
事実、部下のメンタル不調がきっかけで、管理職までメンタル不調になつてしまった例は少なくありません。

対策の研修はもちろん、管理職同士の部署を超えた事例の共有の機会があると、
ひとりで抱え込むことが減るなど、管理職自身のストレス軽減につながる効果が期待できます。

また、コロナ禍におけるコミュニケーションの形が変化していく中で、
オンラインツールを活用した定期的な相互コミュニケーションの場は不可欠です。

ツールは皆が心地よく使えてこそのものだと考えます。
適度な距離感を 企業として従業員のメンタルヘルスを維持していくことは
エンケージ メント向上などの観点からも経営上重要なミッションです。

管理職のセルフケア

■管理職のセルフケア

メンタル不全の増加は、単に会社の生産性を下げてしまうだけではなく
管理職自身に大きなリスクにさらすことにもなります。

管理職の責任が重いので、管理監督者自身がストレスを抱えたり
メンタルへルス不調になったりするケースも増えてきています。

以前に比べ組織のライン構造も 多階層からフラットに近づいてきており
中間管理職が減り、プレイングマネージャーとしての役割になり
マネジメント業務に加え本人の現場業務も忙しくこなすことが求められるなど
時代の変化によるものも見逃せません。

職場でのストレスに関する調査でも、一般社員よりも管理監督者のほうが
ストレスを感じている度合が高いという結果が出ています。

セルフケアによるストレスマネジメントは一般社員だけでなく、管理監督者こそ大事ともいえます。

管理職も、社長でない限り上司がいる部下でもあります。

管理職にもしストレスがたまる上司がいたら、そのセルフケアは重要です。

「えこひいき」したり、指示が曖昧だったりする上司、見せしめのよう威圧したりする
理不尽な上司にあたってしまった事例はまだ多いですが。
中間管理職になってくると、理不尽上司と部下の板挟みで悩むケースも見受けられます。

組織であれば、自分で頑張ったとしても上司 を変えることはできません。
いかに理不尽上司からの被害を最小限にとど められるかが、メンタル不調を防ぐポイントになります。

お勧めは「逃げる」ことです。

とはいえ、組織に属しているならば、いかに理不尽上司だったと しても
「上司から頼まれた仕事をやらない」あるいは「無視を決め 込む」といった、
あからさまな「拒否・拒絶」をすることはできないので、何をもって「逃げる」のかというと、
上司を理解しようと思うことから「逃げる」ことです。

人間、相手に期待してしまうからこそ、自分の意に沿わない結果が目の前に来た時に
がっかりしたり、落ち込んだりするのです。
「上司は○○であるべき」といった自分の中の価値観が崩された時にネガティブな感情が湧き上がってきます。

ネガティブな感 情を抑制するための一番わかりやすい方法が「相手を理解できるとも、
相 手に理解してもらえるとも思わないこと」です。
この前提が変わるだけで も、たとえ上司の言動が同じ(理不尽と感じられるなど)であったとしても、
自分自身の捉え方が違ってきます。
相手は変えられなくとも、自分の 考え方、捉え方は自分で変えたりコントロールしたりできるはずですから。

振られた仕事があったら、いかに早く済ませられ るかに焦点をあて、
余計な感情を挟まないようにして淡々とこなすことに 注力しましょう。

それでも、「本当にダメだ、これ以上耐えられない」と思うことがあれ ば、
その職場から「逃げる」ことも真面目に考えたほうがいいでしょう。
メンタル不調が悪化してしまうと、その職場から離れたほうがいいかどう かの判断が自分でできなくなる可能性があります。
そうなってしまってからでは遅いです。

ストレス発症への「観察」

■ストレス発症への「観察」

管理監督者はラインケアを担当し、部下の健康(含むメンタルヘルス)を
守る義務があります。

ラインケアは、日頃職務遂行にあたって従業員とコミュニケーションをとる中で
「いつもと違う」変化に、いち早く気づけるかどうかがポイントになります

「遅刻や欠勤がいつもより増えていないか」

  「最近仕事の効率が悪くなっているスタッフはいないか」
  「ストレスを抱えていそうな様子がないか」

といった、いつもとの違いに早期に気づき対処するといったスキルが求められます。
4つのケアの中でも特にメンタルヘルス予防に際しその「注意」は肝心な部分です。

管理職の部下への「観察」がストレス管理の基本です。
以下、症状をあげますが、管理職のセルフケアも同じです。

体調へのサインというところでは、だるさが抜けない、物事に集中できなくなる
肩こりや頭痛がひどくなる といった、一見「メンタル不調」とは関係なさそうな症状も含まれます。

強いストレスがかかった場合、次のような形で反応が現れるといわれています。

大きく「精神症状」「身体症状」「行動」の変化として現れるのですが
それぞれ代表的なストレス反応をまとめたものが下の表です。

精神症状(心)

身体症状(体)

行動

やる気が出ない

眠れない
(寝付けない
/ 夜中に目覚める/早朝 に目覚める)

飲酒や喫煙の量が増え

何をするのも億劫

食欲がない

拒食/過食

気持ちが落ち込む

吐き気、胃痛、腹痛

登校出社拒否

イライラする

下痢、便秘

ひきこもり、衝動買い

今まで好きだったこと に対しても興味関心が湧かない

頭痛

遅刻、早退、欠勤が増 える

喪失感が増す

微熱が続く

時間外労働や休日出勤 が増える

焦燥感にかられる

めまい

会話や報告相談が減る

不安が強まる

耳鳴り

成果が上がらずミスが 増える

集中できない

動悸

服装の乱れ、清潔感が なくなる

「メンタル不調サインのチェックリスト」

まず、リーダーが部下との コミユニケーションは大事なのですが、必ず部下のサインを観察しましょう。

日常のマネジメントを正しくすることの中に、メンタルへルスを折り込んで実施していくと
部下への理解が進み、メンタル不調のサインだけではなく
今まで気づかなかった良いサインにも気づき、正しい部下評価が可能になります。

仕事を割り振った後に、以下のようなことが見られますか?

勤務状況サイン

1  欠勤、遅刻が多くなった
2  理由のない突然の早退、有給休暇の取得が多くなった
3  月に80~100時間を組る残業を自主的にすることが多くなつた
4  仕事の仕方や成果にムラが多くなった
5  能率の低下、ミスの増加が見られるようになった
6  納期を守れないことが多くなった
7  商単な仕事ができないことが多くなった
8  細部にこだわり、全体を把握できず、やりすぎることが多くなった
9  仕事や会議中にボーッとしたり、居眠りをすることが多くなった
10  仕車を一人で抱え込み、孤立することが多くなった
11  上司や周囲の人の評価を気にして、仕事が進まないことが多くなった
12  必要以上に仕事に没頭することが多くなった
13  落ち若かず、性急に決断を下そうとすることが多くなった
14  私用メールや電話、トイレの回数が増えた
15  口数が多ぐできもしないことを騒ぎたてるようになった
16  話に起承転結がなくなってきた
17  一人になりたがる、無口になる、会議室にこもるという行動が見られるようになった
18  願客や取引先からのクレームが増えた
19  他部署からの苦情が増えた
20  指示し依頼したことを忘れるようになった

人間関係に表れるサインを見る
うつの人間関係に衷れるサインは対人疲労傾向です。
なかなかスムーズな人間間係やコミュニケ一シヨンがとれなくなってくるのが特徴です。

21  上司の言うことを問かなくなり、かつ必要報告•連絡•相談をしなくなった
22  上司と言い争いが多く、周囲の人に敵意を抱き警戒するようになった
23  上司と目を合わせなくなった。かたくなな態度が見られるようになった
24  上司へのメールの回数が減った、メールに対する返車が来なくなった
25  不眠、食欲不振、体調不良を職場で訴えることが多くなった
26  会議中にいなくなったり、仕事を放り出して帰ることが増えた
27  自分勝手に判断して上司に事実と異なることを言うようになった
28  挨拶をしても返事をしなくなってきた
29  人に厳しく批判的になり、イライラしたり泣いたりして感情が激しくなった

本人の見た目に表れるサインを見る
うつの精神的な初期症状として、抑うつ気分と意欲の低下があります。
これが2週間以上も続くようだと、すでにうつ病入り口に入ってい る可能性が高いのです。

30 表情に生気がなく、視線が定まらなくなってきた
31   声に張りがなくなり、ロをきかなくなってきた
32   身だしなみ構わなくなり、夕方になると元気になるようになった
33   仕事に自信がなくなり、不安になり、人に頼るるようになった
34   職場で酒の匂いがしたり、タバコを吸う回数が増えた
35   身の回りの整理整頓ができなくなった
36   やたらと理由のないプレゼントをするようになった
37   アイデアを出したり、前向きの発言をすることが少なくなった

ストレスチェック診断

■ストレスチェック診断

2015年に労働安全衛生法が改正され、労働者50人以上の事業場では
ストレスチェック実施が義務化されました。

ストレスチェック義務化によって1年に1回は最低、
メンタルヘルス対策について企業が省みる機会になってます。
これは、管理職の主観による「観察」だけでは不十分ということです。

まずいちばん大事なことは、「ストレスの見える化」を可能にする社内体制の構築です。

メンタル不調の予防には、ストレスを構成する原因、ストレスへの心理的耐性、
ストレスを和らげてくれる仕組みの存在がどのようになっているかや
ストレスが心身にどのような影響を与えるか を自らが知っておく必要があります。

体調の不調が体温や血圧を知ることによって「見える化」されてから
対応が可能になることと同じロジックになります。

メンタル不調というのは、ストレスのコントロールの失敗によって
ストレスからの反応や結果 がひどく、心身に悪影響及ぼしてしまっている状態をいいます。

うつ病になる人はたいてい、几帳面、努力家という特質を備えています。
それで、つい生真面目に前だけをみて運転してしまうのです。
自分のエネルギーの燃料タンクが空になっても気がつか ないのです。

では、ガス欠にならないようにするには、燃料計をみて、現在のエネルギー量を自分で把握しておきます。
そうすれば、エネルギーが残り少なく なったらアクセルを緩め補給する、といった対処ができます。

ストレスチェックというのは、この燃料計を観察するのと同じことです。

どんな人であっても、頑張ればエネルギーはどんどん消費されるので、
減った分はまめに補給をしないと、やがてタンクは空になって しまいます。

そうならないよう定期的にストレスチェックを受けて、
自分のエネルギー状態が今、どのようになっているかを客観的に知っておくのです。

日頃誰もがストレスを抱えてはいるのですが、課題満載の業務中、
こんなことに意識を向ける人はいません。だから、見える化をするためにストレスチェックの導入が大事です。

ストレス調査を実際にやっているところも、1年に1回とか、2年に1回といつたところが大半かもしれません。
しかし、その回数では少なすぎます。
春夏秋冬でストレスは異なるので、せめて3ヶ月に1回はやってほしいものです。

オンラインでのストレスチェックなら十分間程度でできるので、それほど負担にはならないでしよう。
実施する際は、社員のプラィバシーを守り、 結果は原則的に本人にしか知らせないが、
問題がある場合は、産業医に限ってみることができるといったような、事前のルールづくりをしておくことが大切です。

ストレスチェック結果のシートは全国平均、会社平均、男女別平均デー夕などと比較できるようにしておくといいです。
自分のストレス状態を周りと比べ、「こんなに赤信号がついているのか。
土日はしっかり休もう」とか、「半年前よりストレスがひどい、気がつかなかった」
などのおおよそのストレスの自己判断ができるので、自分でできる最も手っ取り早い、未然予防となります。

ただし、せっかくのスト レスチェックも、やりっぱなしでは意味がありません。

ストレスチェックの結果を組織全体のデー夕としてとらえ、総合的な対策を施すことも必要です。
そこで、個人のストレスチェックの結果を、プラィバシーを守りながら
組織データとして集計し分析をして、経営参考資料としてもつ必要があります。

ある部署でメンタルに問題を抱える人が多いということがわかったら、
産業カウンセラーなどと話し合いながらその原因を突き止め、
問題解決のために作業手順や人員配置を見直すなどして 職場環境の改善に努める。
これを行えば、予防効果はさらに高まります。

身体の不調と違い、メンタル不調は外から気づきにくいために
「認識した時には 手遅れだった」ということは非常に多く見られます。

義務化されたから半ば機械的に「ストレスチェックを実施している」
といった対策 だけでは対応が難しいケースが今後ますます増えていくと思われます。

ストレスチェックを行なうときには、チーム単位や年代別など
「集団分析」 を行なうことも職場環境の見直しなどにあたっての改善点可視化につながるためお勧めです。

オンラインストレステストツール

■オンラインストレステストツール

全てオンラインで提供されるシステムで有料ですが
すべて可視化でき、詳細な分析が可能です、

THQストレス診断】

メンタルヘルス診断ツール

まず個人の
「精神健康度」
「職場適応度」
「職務満足度」を算出し
それぞれ分析することで

組織全体のストレス
「傾向分析」
「要因症状分析」
「原因診断」
「予測診断」
「改善提言」が処方されます。

カナダストレス研究所と総合心理研究所との共同研究による


【MTOPとMTOP組織診断】

社員一人ひとりのための メンタルヘルスと
ストレス耐性向上のためのオンラインプログラム

・オンラインでのストレスチェックや自己分析
・ストレス解消法やリラックスのための学習コンテンツ、
・認知療法をベースにしたストレス耐性を高めるEラーニング

株式会社ライフバランスマネジメント開発

【離職対策予防HILテスト】

約二十分で約百の質問に答えてもらう

他者依存傾向が強いと、完全主義とかいった
その人特有のリスクパ夕ーン
どんな状況にストレスを感じるか、そのストレス状況への対応の仕方
マイナス感情をどのようにコントロールしているか

積極性•楽観主義といった肯定的な特性などが把握でき
離職行動に影響を及ぼすとされるストレス耐性が測定できるというのが

こ のHILテストの特徴。

医学博士で精神医学を専門とする東海大学医学部の保坂隆教授
心理学博士でとくに心理療法研究で知られるお茶の水女子大の岩壁茂准教授
ライフバランスマネジメント社の三者によって共同開発

オンライン性格テストツール

■オンライン性格テストツール

性格分析により
どんな事柄にストレスがかかるか、あらかじめ理解できます。

【B-Brainテスト】

脳タイプとメンタル耐性(ストレス状況)が数値化される、 脳科学に基づいて開発されたテスト。

このテストによって私たちが無意識に使っている脳の活用傾向を知ることで
自身の強みと弱みの補完をし、ストレスの軽減につなげることができます。

左脳 二次元
左脳 三次元
右脳 二次元
右脳 三次元
を各点数化しその組み合わせで性格タイプを判断します。

【ACS個性分析診断 】

12の尺度につき、0~40の数値で「見える化」され
レーダー チャートとして表示されます。

内側の二重線が標準値(22)で、折れた 線が受検者の値となっています。
10人受ければ10人全く違う結果になり、 それがその人の「個性」ということになります。
数値が標準に近いからよ いわけでも、高い(40に近い)からよいわけでもありません。

12尺度の簡単な紹介

 充実性:今の自分の人生に対する充実感
 会話性:何気ない会話をする意欲(好き嫌い)
 交流性:他人との交流の積極性
 幸福性:自分の人生に対する前向き度
 表出性:自分の感情を表に出すか
 共感性:相手の感情に寄り添い十分に受け止めることができるか
 尊重性:自分とは違う他人の行動をそのまま尊重し受け入れられるか
 融和性:自分の考え方を変えることにストレスを感じるか
 開示性:自分の内面を表に出すことにストレスを感じるか
 創造性:自分で考える傾向が強いか、他人に任せる傾向が強いか
 自立性:周囲の評価や感想に縛られず自分を貫けるか
 感受性:色々な経験をした時に感動する心を持っているか

ストレス・性格テストツール

■ストレス・性格テストツール

直接記入式のテストツールに、主なものとして以下があります。
無料、有料があります。

 職業性ストレス簡易調査票(厚生労働省)
職業性ストレス簡易評価表(労働災害防止協会 )
 気分と感情の状態チェックテスト(アメリカうつ病診断テスト)
 メンタルヘルススケール(早稲田大学小杉正太郎教授)
 MMPI (ミネソタ多面人格検査)
 WAIS-m(成人知能検査)
 内田クレペリン精神検査
 SCT (文章完成法)
 SDS (うつ病尺度)
 YIG (谷田部ギルフォード性格検査)
 GHQ (ニ般健康調査)
 JMI(社会経済生産性本部)

以上が、メンタルヘルスを保つための「ラインケア」の「入門知識」となります。

まとめると
管理職は、ラインケアの重要性を理解すること。
次に、部下に関心を持ち「観察」すること。
そして「メンタルヘルスチェック」の必要性の理解とツール知識でした。

そしてこの「入門知識」は、部下との対応は入っていませんでした。

次回のブログは、部下との対話を通して「メンタルヘルス」を守る「基本知識」段階に移行します。

参考
「メンタルタフネス経営」
「メンタルヘルスマネジメント入門」
「IT技術者が病まない会社を作る」
「メンタルヘルス実践ガイド」

 

ラインケア」関連ブログ

メンタルを守る「ラインケア」ー聴き方・話しかた
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メンタル不調が厳しい業界

IT業界のメンタル環境

■IT業界のメンタル環境

成長が著しい花形産業のIT業界ですが、職場のストレスは、他業界に比べかなり厳しいです。

IT技術者のSE(システムエンジニア)のうち20%はうつ病に悩んだことがあり、他業種の3倍~5倍といわれてます。

ドッグイヤー(情報産業における技術革新など変化のスピードが速い) と呼ばれるように、
技術開発のスピードが速く、技術者は納期に追われ、管理職は短時間で次々と
意思決定することを要求されるというのは、この業界では普通の状態です。

最先端技術であり、目が見える形で次々と世に中を変えていく業務に、誇りを感じる反面、
少しでも気を抜くと、その変化のスピードに比例したような疲労の蓄積が襲ってきます。

成長産業であっても、高度な技術の習得が必要なSEの人手不足が常態化し、
人数が足りなければその分は、今いる人が、
残業をして補うよりほかありません。

IT技術者によくみられるストレス要因には以下のものがあげられます。

・完璧主義が多い
・人手不足により長時間労働で休めない
・顧客からの強いプレッシャー
・円滑でないコミュニケーションや人間関係
・周囲をコントロールできない

メンタル不調とは、独立行政法人労働者健康安全機構が出している
「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」
によると、以下のように定義されています。

「精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、
ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活
および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むもの」

厚生労働省の発表する毎月勤労者統計などから推定すると、IT業界従事者の年間残業時間は約240時間。
全産業の平均が120時間ですから、これはその2倍ということになります。

「平成29年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、過去1年間にメンタル不調により
連続1カ月以上休業した従業員は全体で 0.4%・産業別にみると、IT業界が含まれる
情報通信業が3倍の1.2%と、最も高い割合になっています。

2014年に成立した「過労死等防止対策推進法」に基づく「過労死等防止対策白書」
が厚生労働省より2016年に初めて公開されました。

正規雇用従業員(フルタイム)の月間時間外労働時間が20時間超と回答した企業の割合は
情報通信業では53.7%となっており、業種全体の平均値 (25.4%)を大きく上回っています。

また、1ヶ月間での最長時間外労働時間に関しての調査では、
80時間を超えていると回答した企業の割合が一番多かったのが情報通信業 (4.4%)。

このように、常に緊張した状態で長時間労働を強いられるのですから、
心身に不調をきたす人 が多数現れるのも無理はありません。

実際、日経ITプロフェッショナル誌が特集のために、
ウェブ上でITエンジニアを対象にアンケート調査を実施したところ、
「医師によつて心身の不調と診断されたことがあるか」と いう問いに対し、
「ある」という答えが、2706人の有効回答のうち2割もありました。

関連した質問で「心の病だと感じたことがあるか」
「心の病になった人を勤務先で実際に知っているか」
という質問にも、「イエス」と答えた人はそれぞれ55%、75%でした。

IT技術者に多くみられるメンタル不調の代表的なものは、うつ病やアルコール依存症、
適応障害などです。

ただし、IT技術者がいきなりそのようになるわけではありません。

SEの仕事というのは、ひたすらプログラムを書くので、そこには営業のような人間関係ストレスは少ないようにみえます。

しかし、管理職になると、部下の指導や評価、願客との対外交渉といった、
コミユ ニケーションスキルが必要な役割を求め られるようになります。
そうすると、途 端にストレスが増し、うつ病を発症しやすくなるのです。

さらにもともとコミユニケーションか苦手な人がSEやITエンジニアに多いというのも、
IT業界のうつ病発症率が高いもうひとつの理由だといつていいでしょう。

今まで好きだったことに対しても、集中できない興味や関心がわかない、
眠れない、夜中や早朝に目覚める、食欲がない、動悸がする、 遅刻、早退が多い、
突然の有給休暇取得や無断欠勤がある、 身だしなみに気を遣わなくなった。

メンタル不調のサインは「こころ」と「からだ」と「行動」に現れると いわれています。
そうしたサインを見逃さないことが大切です。

一方、会社側も決して手をこまねいているわけではなく、
とくに最近は過労死に対する雇用者貴任が厳しく追及されることもあって、
IT業界のメンタルへルス対策はここ数年で追いつき、 他のどの業界より進んでいるといってもいいのですが、
もともとメンタル不調が、他業種に比べて3倍以上の業界ですから、
メンタル対策も3倍以上ほどこさなければ、いけないのではないでしょうか。

金融業界のメンタル環境

■金融業界のメンタル環境

銀行や証券、保険会社などからなる金融業界は、堅実で安定しているというイメージから、
学生の就職先としても根強い人気があります。

しかし、バブル崩壊以降、いわゆる金融ビッグバン によって
それまでのような護送船方式の恩恵を受けられなくなり
さらに金融自由化、リーマンショックなどもあって、他業界同様、生き残りをかけて競争をしなければならなくなりました。
金融マンだからといって、エリートとして一生安泰な生活が送れる保障はありません。

金融業界は信用が重視されるので、どうしても情報の管理が厳しく、
従業員の行動も厳しく監視される傾向にあります。それが、ストレスの原因にもなっているといえます。

ある金融機関で情報漏えい事件が連続してありましたが、こういった事件があるたびに
金融機関の働く現場には情報管理の強化ばかりが先行します。
こうなるとうつっぽい職場をさらに増やしてしまうことが想像されます。

さらに、IT化や業務の多様化、M&A、先般の世界金融危機などで
金融業界に働く人は他の業界に比しても日々過大なストレスにさらされています。

2007年に発表された全米医薬健康調査によれば、アメリカの金融業界にフルタイムで従事する
50歳から64歳までのうち、過去1年以内にうつ病発症経験がある人の割合は9.8%。
これは同じ条件の製造業従事者の2倍以上です。

このように、仕事のストレスが大きい金融業界ですが、
それに見合うメンタルヘルス対策が講じられているかというと、
IT業界と比べれば、遅れているようです。早急の改善が望まれます。

ベンチャー業界のメンタル環境

■ベンチャー業界のメンタル環境

IT 業界、金融業界と、メンタル不調が続出する業界をみてきましたが、3番目にベンチャー業界です。

ヒトがない、カネがない。あるものといえば、1人で何役もこなさなければならない責任と、
終わりが見えないほど膨大な量の作業。

ベンチャー企業といえば、過重な労働の典型です。

睡眠時間を削り、土日も仕事という激務が想像されるベンチャー企業なので、
IT 業界、金融業界を上回る、メンタル不調さを続出しているイメージがあるのではないでしょうか?

意外なことに、ベンチャー企業では、メンタル不調になる人が比較的に少ないと考えられています。

その理由は、まさに仕事の目的意識が明確だからです。
つまり、ベンチャー企業の社員に取って、自分たちは何のために働いているのか、
そして、その結果、将来自分たちはどんなことを成し遂げたいのか、ということが共有されているからです。

経営陣だけでなく、社員もそれを理解してチャレンジをしており、
また社員数が 少ないことがあり、目的意識を常に共有しやすい環境にあります。
ある意味、モチベーションを盛り上げるための、仕組みが自然にできている状況です。

しかし、ベンチャー企業が一定の素晴らしい成長を達成し、成功したといわれる段階になると、
目的意識やビジョンの共有が薄れ、最もメンタル不調が発生しやすい環境となります。

それは既に「ベンチャー」ではなくなったからだともいえます。

ベンチャー企業の経営者や人事担当は、事業が成功、順風満帆なときにこそ、
社内のリソースが最も危機にさらされるかもしれないという現実を常に踏まえ、
社内の「メンタル環境」のチエックを必須として欲しいものです。

いずれにしろ、過重負荷があるはずのベンチャー企業でメンタル不調が少ないというのは、
長時間労働がそのまま、ストレスになるわけではないということであり、
またその職場の「熱いメンタル環境」に、メンタル不調を起こさない大きなヒントがあるようです。

参考
「メンタルタフネス経営」
「メンタルヘルスマネジメント入門」
「IT技術者が病まない会社を作る」
「メンタルヘルス実践ガイド」

 

関連ブログ
企業のメンタル障害による巨額な損失
 https://japan-business-flow.com/well-being-blog16/

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企業のメンタル障害による巨額な損失

メンタル障害

■メンタル障害

社会人がほとんどの時間を過ごす、ビジネスの時間。
その時間を、ほとんど幸福に過ごせるならば素晴らしいことであり、
まして「フロー」で過ごせれば最高です。

しかし、ビジネスには人間関係があり、
まして職場にはさまざまなストレスの原因に覆われています。

現実には、皆がみな、幸福に仕事をできるわけでなく、
それどころか「不幸」の状態で仕事せざるおえない場合が多いのです。

なんと、従業員数が千人以上の大企業のうち95%以上に
「メンタル不調」による長期休職者がいるとのことです。
「長期休職」ですから重症です。

「メンタル不調」の言葉は、メンタルヘルスの世界でよく使用されます。
しかし「うつ気味だが、持ちこたえて仕事をしている人」から、
実際にうつ病を発症し、休職して、自宅で長期療養している人まで、
同じ「メンタル不調」者とするのは大雑把に思われます。

実際に病気を発症して、仕事ができなくなった方は「メンタル障害」と呼びます。
(精神学会の定義には無関係)

その、企業の「メンタル障害者」が出ることにより、
どのくらいの経済的損失が出ているか観てみます。

経済損失規模

■経済損失規模

一兆数千億円、この数字は複数のシンク夕 ンクが、メンタル不調による休職などにより発生する、
生産性低下の経済的インパクトを見積もったものです。

厚生労働省の「働く人々の健康状況調査」によれば
「職場で強い不安や心配、ストレスを感じる」と 回答した人々の割合は、
毎年60%以上の高い状態で推移しています。
また、精神障害による労働災害件数と訴訟事件による企業への損害賠償請求も増大しています。

80年代のアメリカでは、M&Aなどが盛んに行われ、そのストレスによる経済的損失は、
連邦政府の財政赤字に匹敵する1500億ドル(約一九兆円)であると報じられました。
また、アメリカの企業が、従業員の心の病気で一年間に失うお金は、全体で2300億円になると報告されています

休職者の損失

■休職者の損失

一般論として、休職者の1ヶ月の最少コストは月額50万円、年間600万円以上になります。


これらの内訳としては、給与手当て、社会保険料、代替した派遺社員の増加コスト、
上司や人事の対応管理コストの増分などを合計したもので す。

さらに厳密に加算をしていくと、傷病手当見舞金、医療負担金や、
派遣社員習熟期間の効率低下、バックアップメンバーの残業代などのコストがあります。

実際、別の計算例では、
年収500万円の従業員が
1年間休業した場合の損失額は年間1500万円になります。

(1)発症前の人件費損失(3ヶ月)
41.6万円×3ヶ月=125万円
(2) 休職中の休業手当(1年間)
41.6万円×0.6×12ヶ月=300万円
(3) リハビリ出勤期間(3か月)
41.6万円×3ヶ月=125万円
(4) 代替要員の人件費
41.6万円×12ヶ月=500万円
(5) 上司のフォローに要する人件費
 2.1万円×12ヶ月=25万円
(6) 既存社員の残業代+代替要員の教育費
41.6万円×1.25×8ヶ月=416万円
▼1490万円

さらに隠れたコストとして、うつ病の休職者が出れば、
製品出荷遅延などの機会損失、人事の対応コスト、社内調整・手続き、外部連携、
他の従業員のモチべーション低下、業務蛩の増加による業務効率の低下などもあります。

長期休職者は、うつ病などと正式に、産業医に認定されるので、その損失規模がわかります。
しかし、実際はうつ病なのに「体調不良」などの理由で、
頻繁に「欠勤」を繰り返す方の損失額は、なかなか表に出てきません。

また、もしうつ病などでの休職者がいない企業でも、
もし職場にうつ状態が広がっていたら、社員満足度、社員幸福度、モチべーション、忠誠心、
全て低下しているはずです。

そしてその結果、大幅な「生産性低下」が起きているはずです。

アメリカのシンクタンクの、一兆数千億円という損失み積もりは、
この生産性低下によるものを勘案したものでしょう。

早期離職者

■早期離職者

休職者以外に、企業にとって損失になるのはの従業員が辞めてしまうことです。
ある企業での試算によれば、1年以内に離職された場合の損失は、その年収の3倍といわれます。
つまり、年収500万円のの従業員を雇って、1年以内に辞められた場合には、
募集広告、研修など初期投資した分、こらからの採用広告を入れて企業は
1.500 万円の損害があるということになります。

もしその従業員が優秀だった場合、ノウハウも失われます。

病院の例ですが、看護師の早期離職が問題になり、
平均すると新規採用者の13 % が1年以内に辞めてしまうそうです。

アメリカのIT業界における離職回転率ははるか高く、およそ20%。
これは1年間で社員の20%が入れ替わるということです。

その補填のための人材確保はへッドハンターを頼ることが多く、
報酬は、通常年収の2割〜3割なので、ヘッドハン夕ーを通して年収1000万円で人を採用した場合、
会社は一人あたり200万円〜300万円を、別途へッドハンターに支払わなければなリません。

1000人規模の会社なら、従業員のうち年間200人を新たに採用することになります。
仮にその新規採用者の年収平均が500万円として採用の半分を人材紹介業を通すとします。

するとその紹介料だけで年間2億〜3億円以上が発生することになります。
さらに新規採用者には教育やトレーニングも施さなければなりませんから、
そのコストは途方もない金額です。

退職者理由は、転職、結婚、移住、親の介護などの場合もありますが、
メンタル不調、障害が原因であるのは、全体の7割〜8割と推測されてます。

自殺と安全配慮義務

■自殺と安全配慮義務

自殺による死亡は日本人の死因統計によれば,死因の第6位をです。
しかし、15〜54歳までのいわゆる生産年齢(15 ~64 歳) のほとんどの期間を、
5歳間隔で区切って死因統計を算出した場合、全年齢グループで、
自殺による死亡は死因の第1位か第2位を占めてます。

自殺者のうち労働者は約一万人。
メンタル不調に関連した労災請求と認定の件数が、
ともに自殺者が増加傾向にあるということを考えると、
職場うつなどが自殺の原因となってているケースは、決して少なくないと思われます。

実際、産業医の7割が、従業員から自殺に関する相談を受けたことがあるという
産業医科大学からのアンケート調査結果もあります。

2005年に東京地方裁判所は、派遣労働者の過労自殺を認定し、
派遣先の企業に損害賠償金の支払いを命じる判決を下しま した。

これは、企業は正社員だけでなく、派遣社員、契約社員、親会社からの出向者、
さらにはパートやアルバイトに対しても、
メンタル面も含めた現境整備や対策を講じる責任があるとされたことを意味します。

もし、遺族から損害賠償訴訟があり、その自殺の原因が、
就労中の「メンタル不調」「メンタル障害」によるものとされたら、
その慰謝料は膨大なものとなります。


電通過労自殺事件
 1億6,800万円
富士保安警備事件
 6,294万円
南大阪マイホーム・サービス事件
 3,960万円
システム・コンサルタント事件
 3,200万円
川崎水道局事件

 2,100万円

電通過労死事件は、史上初の最高裁判決であり、
それまで個人の責任に転嫁されがちだった労働者の自殺について、
自殺と業務との因果関係を認め、企業の責任を認定したものです。

本判決は,長時間労働など過重労働をなくするために、
企業が重大な責任を負っていることを明確にしたものであり、
明確化されたのが,企業の「安全配慮義務」と いう言葉でした。

事業主は,従業員がうつ病にかかるような長時間労働に従事させてはならない義務があり、
うつ病にかかった従業員には,単に「早く帰宅するように」と指導するだけでは足りず、
仕事量を軽減したり、休暇を取らせたり、カウンセラーに相談させる等、
具体的な措置を構ずべきであるとするのが「安全配慮義務」です。

「安全配慮義務」は、従業員の生命や健康などを守るように配慮する法律的な義務であり、
努力義務ではないので、これに違反すると事業者の 従業員に対する償務不履行になります。

また、労働そのものは、長時間があまりに過ぎると「安全配慮義務」違反になるが、
長時間でなくても、嫌な仕事、辛い仕事を、無理やり押し付けるのは、
「強いストレス」となり「メンタル不調」を呼ぶ原因となるので、
企業は「安全配慮」しなければならないでしょう。

また、川崎水道局事件は、長時間労働が原因ではなく、職場のイジメが原因の自殺でした。
集団パワハラともいえます。
企業は、もしその職場に「ハラスメント」があり、それを放置していると、
「安全配慮義務違反」になります。

このようになってしまった場合、慰謝料はもちろん、
担当者の労働損失日数、訴訟対応費用、再発を防ぐための対策費用も加わります。

労働損失日数

■労働損失日数

従業員5000人規摸のある大企業で、この5年間、精神障害による休職者が増加し
労働損失日数が約2000日から8000日へと4倍になりました。
仮に一人一日当たりの遺失利益を2万円とすると、
その経済的損失は、4000万円から1億6000万円へと 増えたことになります。

当事者のそうした損失利益に加え、職場の上司・同僚の負担増に伴う事故やミスの増加、
モラルダウン、CSR (企業の社会的貴任)への影響、
さらには機密書類の漏洩、イ ンターネットへの書き込み、顧客へのサービスの低下によるトラブルの頻発、
創造性、企画力の低下等の、間接的損失まで入れて計算すると大変な金額となるでしよう。

カナダ.ストレス研究所 は、ストレス対策を怠ることに伴う最大の経済的損失は、
企業の成長力低下であると指摘しています。

「不安」な中小企業

■「不安」な中小企業

厚生労働省が、大田区と千代田区の中小企業87社の社員を対象に実施したアンケート結果があります。

「自殺を考えたことがあるか」という問いに、10.3%の人が 「ある」と答えました。

また、「過去一年以内に、実際に自殺を試みたことがあるか」という質問に対しても、
「ある」という回答が2.2%もあったということです。

さらに、各事業場の健康管理担当者への調査では
「メンタルの問題で休業している社員がいる」事業場は全体の14.5%、

「過去1年以内に自殺未遂者が出た」という事業場も7.3%にも上っています。

(大企業が95%で中小企業が14.5%という数字の差は、大企業が圧倒的に社員数が多いからと推定できる)

「メンタルヘルス対策は必要」と回答している事業場が72.7%と高い割合を示してますが、
実際に「対策を施している」のは23.6%にすぎません。

これは、非常に中小企業にとって、危険な数字ではないでしょうか?

メンタル不調がメンタル障害になり、損失になるのは、中小企業にとって大きな痛手です。

大企業のように、産業医や専任の担当者を置く余裕がない、中小企業のメンタルヘルス対策は、
とにかく早急に「予防」に重点をおかざるおえないでしょう。

 

関連ブログ
メンタル不調が厳しい業界
 https://japan-business-flow.com/well-being-blog17/ ‎

参考
メンタルヘルス実践ガイド
メンタルヘルスマネジメント入門
メンタルタフネス経営
IT技術者が病まない会社を作る

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