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自己棚卸し
■自己棚卸し
「棚卸し」というビジネス用語があります。
一般的には企業の在庫資産を調査、把握し、価値を評価することです。
この用語は、さらに個人に使われることがあります。
「自己棚卸し」です。
企業が従業員個人に「自己棚卸し」を課すとか、従業員が自主的に行なうのは稀です。
キャリア再構築、ほとんど個人が「起業」を前提に、
自分が独立して競争力のあるビジネスを展開していくにあたって
競争力を上げる「強み」を探すために最初に行います。
これは個人の現金や有価証券、固定資産などの「金融資産」の棚卸しではなく、
仕事のキャリア、社会活動、趣味歴、英語やパソコンスキル、隠れた性格、人脈など、
目に見えない能力「スキル資産」や「マインド資産」といった
「無形の資産」といわれるものの棚卸しになります。
もちろん、「金融資産」の棚卸しもやったほうがいいのですが、
財物は使えば無くなるもの。
経験や能力といった「スキル資産」は、使っても無くならなく、
逆に増えていくので「スキル資産」を優先して、確認、評価することが重要になります。
「無形の強み」発見の自己棚卸し
■「無形の強み」発見の自己棚卸し
なぜ「無形の資産」の自己棚卸しをした方がいいかというと
「強み」につながる経験のほとんどを忘れてしまっている場合と、
自分が「強み」と思っていない事が多いからです。
自分の強みや才能を見つけるには、これまでに経験してきたこと、
体験してきたことなどを全て洗い出します。
生まれてから現在に至るまでのことを全て棚卸ししていきます。
強みや才能について、こう考える人は多いでしょう。
「自分には強みはない」
「自分には才能はない」
「成功している人と同じ能力はない」
自分の強みが見えない人は、自分を基準にして周囲と比べてしまうからです。
そんな時に「フォーカスチェンジ」をしてください。
自分からみた自分でなく、周囲から見た自分です。
例えば、あなたのことを10人の人が見ているとしたら、
10人から別々の違う人に映っています。
あなたの経験や体験、考え方は10人の人が見れば
10通りの強 みに変えることができます。
強みや才能は、自分の価値観で決めるのではな く、
将来の顧客から見た時に、強みとなるかを見ていきます。
そうすることで、これ まで弱みや弱点だと思っていた要素も、
強みへと変換することができるようになるのです。
あなたには必ず「強み」があります。
まだ自分が気付いていないだけです。
その「自己棚卸し」を行い「強み」を知ることで「差別化」が強力になります。
自分の主観を手放し、客観的な視点で自分と向き合つていきましよう。
企業内の「自己棚卸し」の勧め
■企業内の「自己棚卸し」の勧め
自己棚卸しは、起業前提が多いと書きましたが、
そうでない従業員にも、自己棚卸しは有益です。
従業員が、仕事で「ワーク・エンゲージメント」状態で働くために
「得意な仕事」に就くことが条件とされてます。
しかし、得意な仕事が自分がわからない場合、
より良い仕事をするためには「自己棚卸し」をしたほうがいいのです。
また、企業側が従業員の「得意な仕事」を把握しており、
本人もその気になっていても、あえて企業が支援して、
自己棚卸しをするよう促したしたほうがいいでしょう。
さらなる+αの強みを発見できるかもしれないからです。
強みを生かした「得意な仕事」は、
何より「ワーク・エンゲージメント」を促し、
企業の業績に貢献します。
また何よりも従業員本人が幸福になります。
人間は、自分の好きなこと、強み、得意な能力を生かして、
多くの人、組織に貢献し、喜んでもらい、感謝してもらうことが最も幸福です。
「フロー」状態で恍惚と仕事に没入する至福の時です。
そういった幸福感を周囲に伝播するので、組織全体が幸福になっていくのです。
ということで、改めて一般従業員の方にも自己棚卸しはお勧めです。
例えば、40歳という平均寿命の折り返し年齢で、
全従業員が行うとか制度化してはいかがでしょうか。
もちろん、30歳でも構いません。
50歳になってしまった方は、すぐにやってみたほうがいいですね。
人生キャリアを作る「半生記」の勧め
■人生キャリアを作る「半生記」の勧め
まず、自分の「半生記」を書いてみます。
過去を全部振り変えるのです。じっくり回想して書きましょう。
書く際の注意点をあげます
・「客観的に表現」する
・「具体的に表現」する
・くだらないと思ったことも良し悪しを判断せずに書き出す
過去の人生を振り返って、どんな実績があるのか、
どんな子供時代を、
どんな学生生活を、
どんなサラリーマン生活を、
どんな家庭での生活をしてきたか、
どんな失敗と挫折をし、どんな成長をしてきたのか、振り返ります。
子供の時に大人になったら何をやりたいと思ったか?
社会人になった時、どんな夢を持っていたか?
どんな人物に憧れ、なりたいと思っていたか?
身近な人でも歴史上の人物でも構いません。
文字数は多いほうがいいです。3万字以上書けたらいいですね。
10万字まで行くと、本になります。
無理だと思ったら、1万字でもいいです。
(書かないよりはるかにいいので)
大抵は、すぐ思い出せる素敵な出会い、楽しい思い出、
仕事や趣味の実績を書くことが多いですが、
失敗、挫折、コンプレックス、逆境、恥ずかしい思いでを
優先して書いたほうが、発見があり、
また人を感動させるストーリー紹介に役立つことが多いです。
もちろん、活躍した実績は加えてください。
基本的に、ビジネス成功に向けた目的の場合の自己棚卸しは、
「強み」発見が目的ですが
「弱み」でもそれを「強み」に転嫁できる場合もあるので、あまりこだわることはありません、
書き方は、「記録」としても大事なのですが、
自分のその時の感情に焦点を当ててください。
感情が大きく揺れた事柄が大切です。
感謝した、喜んだ、泣いた、怒った、憎んだ、苦しんだ、など。
ただ、文章では、ひたすら感情をぶつけて書くのではなく、
どうしてそう感じたのかを客観的に振り返って書いてください。
感情が大きく動いた内容が、心からやりたい事、仕事に結びつくことは多いです。
できたことの確認はもちろん、その時できなくても、
これから「できること」へのヒントにするのも大切です。
自分の軸を見つけましょう。
自分の価値観を確認しましょう。
そうでないと、生涯、環境と他人と自分の感情に左右され、
振り回され続ける人生になってしまいます。
「人生の棚卸し」これは、人生キャリアへの自己理解です。
やってみると意外と 忘れていた経験や、喜びを感じた瞬間を思い出し、
また新たな自分が発見できにるかももしれません。
また、新規事業への種子が見つかるかもしれません。
自分の半生を振り返り、
「これをやらないと悔いが残ること、やり残したこと、やりたいことは何なのか」
考えてみてください。
「半生記」は、起業では様々なビジネスに活かす材料の宝庫になります。
また起業にかかわらず、地域へ貢献活動、ボランティア活動を決めるきっかけにもなります。
また、家族やプライベートライフのSOsへの伝言にもなります。
SOsというのは、英語でsignificant others
(通常は配偶者のこと、さらに自分の人生でとても大切な人々のことを意味)
と言いますが、彼らや家族への伝言も残したいものです。
普段、ご家族、子供、孫に話していなかったエピソードが多く含まれることになり、
自分の人生の生き様を残すことにもなります。
次世代人に 自分の経験を伝えてゆくことも、大事な人生の仕事です。
自分の「人生キャリア」の記録、「キャリア」とは、
ビジネスの実績で使われることが多いですが、
この言葉は、人生作りのため、人生全般にも使われるべきでしょう。
どう仕事をしていくかよりも、どう生きていくかです。
もちろん生き方が、そのまま仕事になっていいわけです。
これは「プロティアン・キャリア」と呼ばれるキャリア形成です。
企業がどうして、従業員のプライベートライフのキャリア形成の
支援をしなくてはならないのかと、思う方もいるかもしれません。
本ブログのテーマは「Well being」なのですが、
「Well being経営」としてみた場合、
企業は従業員の幸福を、仕事中のみでなく私生活まで面倒をみるのが理想です。
企業が従業員の幸福を真剣に考えるならば、そうでなくてはいけません。
そのような会社に対して、従業員はどのような思いを抱くでしょうか?
ジョハリの窓
■ジョハリの窓
できれば、人生の棚卸しや自己理解は 1人で書くのではなく、
あなたを理解している人と対話しながらやってみるのがいいです。
心理学の有名な自己理解マトリックスに「ジョハリの窓」があります。
(添付図)
自分にわかっている自分
自分にわかっていない自分
他人にわかっている自分
他人にわかっていない自分
の組み合わせマトリックスで、最終的には、自分も他人もわからなかった自分
「未知の窓」を発見することが理想です。
他の人に説明すると、さらに何かを思い出し、発見するかもしれませんし、
その人から、自分では気づかなかった強みや実績を教えて貰えるかも知れません。
当時の状況、気持ち、感情に対して、質問してもらうのもいいです。
質問を受けると人間は、A4で30Pの量の記憶をスクロールするそうです。
脳科学では自分のことは7%しか知らないとされてます。
過去の自分の中に新しい自分を発見できることがあります。
忘れていたこと、含め、とにかく文字化しましょう。
対話を通じて、「ジョハリの窓」をすべて埋めたいものです。
年表と感情曲線・モチベーショングラフ
■年表と感情曲線・モチベーショングラフ
最後に自分の年表を書きます。
生まれてから、入学、卒業、就職、結婚、出産など、
主だったできごとを年表に書き込みます。
成功、失敗、嬉しかった出来事、悲しかった出来事も
全て書き込みます。
そのときの、やる気、モチベーションの高さを
折れ線グラフにしてみましょう。
自分の感情の気分の上下、感情曲線です。
どういうときにやる気が出て、
どういうときに落ち込むか、
見えてきます。
また気分だけでなく、
人生の中でイケてたと思う時期、
イケてなかった時期の、
プラスマイナス、上下の波曲線を描いてください。
自分個人の経済曲線もいいですね。
どういった事柄、出来事、イベントが有ったときに、
それらの曲線がどう上下したか見えてきます。
そして、こらからの人生でその曲線群をどう伸ばしていくか?
そのためには何が必要か見えてきます。
そして、歩んできた自分の人生ともに、
これからの人生が視覚化できるのです。
起業棚卸しにあたって家族への手紙
■起業棚卸しにあたって家族への手紙
起業にあたって、人生キャリアの「半生記」を作る場合、
家族への遺言的な要素も含むため、過去のことだけでなく、
現在、つまり「起業への気持ち」のメッセージも残しましょう。
ビデオメッセージでもよいです
ご家族が知りたいのは、事業内容より「動機」です。
なぜ多くの人がリスクがあると考える起業を選択したかということです。
親しいようですべては話していない家族に向けて、起業前の気持ち伝えましょう。
本気度が上がります。
過去の失敗の吐露という、自己棚卸し含めた、将来への思い、正直な感想を述べます。
それを読んだ人が、感動して後から「伝記」を書いてくれるかもしれません。
私の弟は起業する前に、父母や私当てに、起業をしたいむねの長い手紙をくれました。
いかに起業のため長い間準備してきたかと、その強い思いを長文で書いており、
何か許可を求めるような書き方だったので、
どうして起業にあたって、妻ならともかく、
親や兄弟の許可を得ようとするのかが不思議だったのですが、
本気度をあげるためだったのかもしれません。
今回は一般的なビジネス構築に向けての自己棚卸しというより、
理想の人生全般の幸福化に向けた自己棚卸しの紹介でした。
次回は、ビジネスに絞り込んだ自己棚卸しを紹介します。
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ビジネスに最大効果を発揮する自己棚卸し
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プロティアンキャリア形成・「無形資産」の棚卸し
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