ワーク・エンゲージメントを促進する5つの要素
■ワーク・エンゲージメントを促進する5つの要素
過去のブログで、ビジネスに没入する感覚を「ビジネスフロー」と呼称してきました。
そして、似た概念として「エンゲージメント」があるとご紹介しましたが、今回はそのエンゲージメントの解説をさせていただきます。
正式には、ワーク・エンゲージメント(Work engagement)といいます。
ワーク・エンゲージメントの第一の特徴は
「私は働きたい」(I want to work)ということです。
「私は働かなければならない」(I have to work)と認知する
ワーカホリックとは区別されるとされます。
「フロー」も自発的なものですから、共通してます。
第二の特徴は「生産性が高い」ということです。
「フロー」は、高い生産性を促しますから、これも共通してます。
この二つを実現させるための、モチベーションとして、
5つの要素が挙げられます。
・お金
・自分自身
・チーム間のメンバーシップ
・習得
・ミッション
このアプローチは、マズローの自己実現モデルと似ています。
上から下に発展していくのです。
まず、「お金」
基本は給料の保証。当然かもしれません。
マズローの理論で言えば、安全安心欲求でしょう。
「自分自身」
これは、自分を生かせる仕事だと思います。
自分の「強み」を生かして良き影響力を、周囲に、社に、社会に発信していく。
「チーム間のメンバーシップ」
ビジネスは個人ワークではなく、良き仲間との人間関係、協力体制があってこそ発展できます。
マズローの理論で言えば、所属欲求、承認欲求にあたる階層でしょうか。
「習得」
これは、自分を高いレベルに押し上げるスキル習得でしょう。
自分の「強み」を生かせる仕事を、チームメンバーの協力、支援を得ながら、
スキル向上させていく。次の段階の「ミッション」を実現するためです。
「ミッション」
「天命」をみつけ、その仕事に捧げること。
マズローの理論で言えば、「自己実現」に当たる段階かもしれません。
この5つの中で、注意しないと、まったくワーク・エンゲージメントを起こせない重要な要素があります。
それは、「自分自身」です。
ワーク・エンゲージメントを起こすには、「本人の得意な仕事」でなければいけないことがわかってます。
「得意な仕事」「強み」で生産性6倍
■「得意な仕事」「強み」で生産性6倍
ギャラップ社は、過去10年以上にわたって世界の1000万人以上を対象に、エンゲージメント調査を行ってきました。
その結果、次の項目に対して「非常にそう思う」と答えたのは、3分の1でした。
「仕事をするうえで、自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っている」
残り3分の2は、毎日、得意な仕事ができていないということになります。
得意な仕事でなければ、「私は働きたい」(I want to work)とは思わないので、
生産性の高いワーク・エンゲージメントではないということになります。
実際、
「まったくそう思わない」
「そう思わない」
と答えた人のうち、
仕事に意欲的で生産的な人はひとりもいなかったのです。
自分は最も得意なこと、つまり自分の「強み」に専念する機会のない人の仕事へのマイナスは、大きいのではないでしょうか。
対照的に、毎日「強み」に取り組む機会がある人は、
ない人よりも、6倍も意欲的かつ生産的に仕事に打ち込む傾向があり
「生活の質がとても高い」と述べる傾向が3倍以上にのぼる
ことがわかっています。
得意な仕事をまかされた場合、生産性が6倍になるのです!
フロー状態になった場合の生産性アップ予想は6.5倍なので、近似値です。
実はフロー状態になるためには、好きで得意な仕事に取り組んでこそ、の前提条件があります。
なので、条件も数値が合うことになります。
またワーク・エンゲージメントには、フローと同じように「没頭」の条件もあります。
シャウフェリら研究者の定義
「ワーク・エンゲージメントは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる。
そのエンゲージメントは、特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた一時的な状態ではなく、
仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知である」。
得意な仕事を任せられたら、フローのような状態になるのです。
「強み」を生かせないのは
■「強み」を生かせないのは
職場で抱く仕事への意欲や生産性は、強みを活かしている人に比べてその6分の1にということですが、
強みを発揮できないと、次のような状態になってしまいます。
•仕事を前向きに考えられない
•創造的でない
•日々の達成率は低調
•仕事へ行くのが不安
•同僚とは消極的にかかわる
•顧客をないがしろにする
•勤務先がいかに悲惨かを知人に語る
「強み」の領域にいないと、仕事だけでなく人間関係や健康にも深刻な影響が及びます。
逆に、強みを生かした仕事をしている人は、自信と希望にあふれ、
他人を思いやる余裕も生まれることが、ギヤラップ社の調査から明らかになっています。
しかし重要な問題が二つあります。
ほとんどの人が自分の、また周囲にいる人たちの強みを知らないか、知っていても説明できないこと。
また、わかっていても管理職が組織の事情を優先させて「強み」を生かした業務に就かせないこと。
3分の2の従業員が「強み」を生かした仕事に就けずくすぶっているのは、理由があります。
社会は、人や物事の「問題点」「欠点」を探す方向で発展してきたからです。
1960年代、強み心理学の父であるドン・クリフトンは、人の悪いところを表現する言葉」は、
すでに数えきれないほどあることに気づきました。
心理学には「DSMIIVJという、アメリカ精神医学会が定義した精神障害の分類と診断のマニユアルがあります。
ビジネスの世界では多くのコンピテンシーモデル(高い業績を生み出している人が持つ特徴的な行動特性)が指摘されているが、
大部分、何がうまくいっていないかを説明することに重点を置いています。それらは「改善すべき分野」として分類されています。
「改善すべき分野」は、問題点、つまり欠点、弱みとしてばかり取り上げるのではなく、業績、長所、強みの方にポイントを変えることです。
「強み」への支援
■「強み」への支援
以下の「強み」調査が行われた結果、職場で日常的に自分の強みに着目してくれる人がいると、
従業員にとてもよい影響を及ぼすことも明らかになっています。
従業員が周囲に悪影響を与える確率
「上司が従業員を無視する場合」 40%
「上司が従業員の弱みに着目する場合」 22%
「上司が従業員の強みに着目する場合」 1%
この結果から、部下を無視する上司が、部下の弱点に着目する上司より、多くの弊害をもたらしていることがわかります。
しかし、注目するべきは、部下の強みに着目する上司が、部下を悲惨な状態に追い込む確率を激減させていることです。
99%、従業員はおかしくはならないのです。
自覚した「強み」の仕事に打ち込む以外に、上司からもその「強み」を認められ、支援されてこそ、
高いワーク・エンゲージメントが発揮されるのでしょう。
これまで、企業は各個人のマイナス面しか目を向けてこなかったのですが、これからは、プラス面にも目を向けて対策する必要があります。
対策を施すほどに、企業の生産性は上がり業績が向上します。
「Well-Being経営」
■「Well-Being経営」
働くことへのをモチベーション高めるには
認知的
感情的
身体的
3要素に関与します。。
「Well-Being経営」は、
従業員の、心と体の両方を良好な状態を整備します。
「心が良好な状態」は「幸福」、「幸福」は感情。
「体が良好な状態」は「健康」、「健康」は身体。
そして、本人の好きなこと得意なことたる「強み」を生かした就労環境を施すのが、「認知」の支援です。
この3要素が十分に整えば、ワーク・エンゲージメント達成の準備は十分整ったということになるでしょう。
最後に資料として、ワーク・エンゲージメントを向上させる変数をあげておきます。
5つの要素、お金、自分自身、チーム間のメンバーシップ、習得、ミッションに加え、
さらにワーク・エンゲージメントを向上させる2つの重要な変数が特定されてます。
- 業務支援: ワーク・エンゲージメントは、同僚からのソーシャルサポート、上司の業績フィードバック、コーチング、ジョブコントロール、タスクの多様性、学習・向上の機会、トレーニング施設などといった業務支援と正の関係がある。これらの支援は、業務上の要求によってストレスを受ける影響を減らすのに役立つだけでなく、仕事の目標を達成するのにも役立ち、学習、個人の成長、発達を促すものである。業務支援によって仕事意欲が向上されるケースでは、それが高い要求がなされる仕事を受けた場合に、特に顕著であるというこが発見されている。
- 個人的資源: 楽観主義、自己効力感、レリジエンスなどの個人的資源は、環境コントロールに効果を発揮し、ミッションを成功に導きうる。さらにエンゲージされた従業員には、あまりエンゲージでない従業員と差が見いだされる、いくつかの個人的な特徴がある。たとえば、外向性、良心性、感情的安定性などである。心理的資本もまたワーク・エンゲージメントに関連しているようである。
「ワーク・エンゲイジメントに注目した個人と組織の活性化」
島津 明人 東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野関連ブログ
魔法の人生に誘う「フロー」
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