目次
「Happiness」と「Well being」
■「Happiness」と「Well being」
Well being(ウェルビーイング)という単語を、ご存知ですか?
早くいえば「幸福感」を表す言葉の一種です。
近年、幸福感に興味のある方、また企業経営に興味のある方に広がってきました。
しかし、日本国内では、この単語を多くの人が聞いた事はあっても、その意味はまだまだ広まっていない感じです。
しかし、粛々と、その概念を広めようという動きはあります。
与党、自民党内において、ウェルビーイングに満ちた世界を、政策に実現するために
「日本ウェルビーイング計画推進プロジェクト」の活動が行われています。
日本国憲法第13条に、幸福追求権が述べられています。
幸福を追求するのは、国民の権利なのですが、政府がそれを支援するのは当然ともいえます。
実は、日本語の「幸福」は、英語ではおおよそ「Happiness」と「Well being」の二つの意味に分かれます。
「Happiness」
■「Happiness」
「Happiness」は日常、楽しい時に、気楽に何気に「ハッピー!」と笑いながらつぶやくような、気軽な感覚です。
例えば、好みの異性とデートした喜び、素晴らしい風景に出会った感動、試合やゲームに勝って嬉しい、スポーツ後の爽快感、、、。
これらは、とても素晴らしいものです。
さらに、マッサージされて気持ちがいい、美味しいものを食べた、お酒に酔って気分がいいなど、刹那的なものが含まれます。
実は、英語「Happiness」の感覚は、後者の要素が大きいのです。
つまり、どちらかといえば、瞬間的な快感です。
なので、ずっと探していた公衆トイレを、限界ギリギリで見つけることができ、
無事、放出し終えた後の、快感、充実感、安堵、安心感も含まれます。(笑)
それでは、「Happiness」と「Well being」とは、どう違うのか?
(以降、ハピネス、ウェルビーイングと表記します)
「Well being」
■「Well being」
ウェルビーイングは、日本語では単語化されていず、一般的に「持続的幸福感」と訳されます。
ウェルとは、「心地よい前向きなマインド」
ビーイングは、「あり方」と行った感覚ですが、
ウェルビーイングになると「持続的」になるのです。
そうすると、ハピネスは「短期的幸福感」ということになります。
一般的に「虚しい」といわれる、刹那的な快感も含まれます。
「持続的幸福感」というと、時間軸だけで捉えてしまいそうですが、将来の不安がない安心な幸福感、
人生トータルの満足感も含むので、健康面の安心、豊かな人間関係、一定の経済的安定を満たすことが必要になります。
毎日、お酒を飲んで、その時は「ハッピー!」。
でも、内臓の病気でいつも調子が悪いとか、友達がいなく、家族とは険悪とか、
貯金ゼロ、失業しているとかでは、とても「持続的幸福」ではないわけです。
実はアメリカでは、ハピネスは刹那的なものなので、それを求めるというのは低レベルであり、
ウェルビーイングを目指そうというのが一般的です。
なので、幸福になりたい日本人が、もしアメリカ人に
「私の人生の目標はハピネスです」と言ってしまうと、そのアメリカ人からは
「この人の人生観はレベルが低い」と、呆れられかねないのです。
ウェルビーイング、「持続的幸福」は周囲の人を長期的に巻き込み、高い社会貢献を実現します。
先に書きましたとおり、日本語の「幸福」は、ハピネスとウェルビーイングを両方含んだものです。
これから普段「幸福」を、何気なく聞いたり、使ったりするときに、
「はて、これはどちらの意味なのかな?」と考えてみて、極力、自分の周囲の人たちにも、
ウェルビーイングの方向に促していくことが、本当に大事です。
ポジティブ心理学におけるウェルビーイング
■ポジティブ心理学におけるウェルビーイング
これらの研究は日本では「幸福学」、アメリカでは「ポジティブ心理学」「幸福理論」などで、取り扱われてます。
どちらも「刹那的な快感」の研究というより、ウェルビーイングの研究を深めてます。
ここから、やや学問的な考察になりますが、もし真に、ウェルビーイング「持続的幸福」を求めたいと思うなば、ぜひ読んでください。
もちろん日米だけでなく、世界幸福度ランキングで上位国を頻出する北欧各国でも盛んに行われています。
世界幸福度ランキングで1位になったことがある、デンマークの幸福研究所の、マイクヴァイキング氏は、
ウェルビーイングを以下のように定義づけてます。
「個々、人に得をした感覚、前向きになる勇気、行動力と人生の喜びを与えてくれるような幸福を表す言葉」 。
ここでは「持続的」な要素は出てきませんが、刹那的な喜びだけでなく、
「人生の喜び」を与えてくれるのだから、長期的な幸福感を表しています。
ウェルビーイングの5つの要素
●ウェルビーイングの5つの要素
アメリカのペンシルバニア大学教授、マーティン・セリグマン氏は「ポジティブ心理学」の創始者のひとりです。
「ポジティブ心理学」は従来の「幸福理論」を発展的に深めた研究を行なってます。
セリグマン教授は、その著書「ポジティブ心理学の挑戦」の中で、ウェルビーイング理論をは5つの要素に分けてます。
「ポジティブ感情」
「エンゲージメント」
「意味・意義」
「関係性」
「達成」
ポジテイブ感情
① ポジテイブ感情
ここでの「ポジティブ」は、一般的な日本語訳の「積極性」という意味でなく
「心地よい人生感覚・満足感」で使われます。現在の主観的な感覚です。
エンゲージメント
② エンゲージメント
自分にとって時間が止まり、自我も思考も感情もなくなり、ひたすら仕事に没入する感覚。
これは「フロー」と同じ感覚です。
また「ゾーン」も同じ感覚ですが、「ゾーン」は主にスポーツ時に使われ、
「エンゲージメント」は仕事中、「フロー」はすべてにわたって使われます。
後から振り返ると不思議な「快感」であり、「あの時は幸福な時間だったかもしれないなあ」
と思うので、回想した過去の感覚です。これも主観的感覚です。
以上、ポジテイブ感情、エンゲージメントの二つは、幸福感の基本です。
しかし、統計的、学問的に分析するならば、どちらも全く主観的な感覚であり、そこには、客観的な尺度がありません。
なので、過去、幾多の哲学者が「幸福とはこういうものだと思う」という論評は残してはいますが、
幸福という概念を、学者が学問として研究するということは、20世紀までなかったのでした。
主観的感覚を統計化しようという試みで、幸福学は始まったのですが、
周囲からの客観的な指標を幸福研究に入れようという試みが、以下の三つです。
意味.意義
③ 意味.意義
自分の生き方、生き様の評価です。
自分の感覚だけではなく、自分よりも大いなる何かに、自分が実際にどれほど属し、仕えているかが問題となります。
また、自分からの主体的な価値評価のみではなく、他者からの評価が含まれます。
自分では「くだらない人生だった」と思っても、周囲からは客観的に「素晴らしい人生でしたね」
と評価されることがあるということです。
例として、深刻な憂うつ質だったリンカーン大統領の例が挙げられてます。
「リンカーンは絶望のどん底で、自分の人生を無意味だと判断したかもしれない。
だが傍から見れば、彼の人生は意義深いものであったと判断する。」
ポジティブな関係性
④ ポジティブな関係性
この解説は少なくシンプルです。
「今日では、他者とのつながりや関係性が、人生に意味や目的を与える ものであることは誰もが認めるところだからだ。」
達成
⑤ 達成
「ポジティブ感情」「エンゲージメント」「意味・意義」「関係性」は、
結果的に具体的に得るものがなくても、そのものの良さのために追求されます。
しかし、「達成」は文字通り、何かの達成を目指す。
自分が成し遂げたことに対する、自分自身への誇りだけではなく、
自分が実際に目標を達成したかどうかに加え、それらの目標が、
自分が気にかける人々や世界に対してどれほどインパクトを与えたかが問題となります。
つまり他者からの評価も必要です。
その「達成」とは一時的な形での「達成」と、その拡張した形である「達成の人生」、
つまり究極の人生目標を掲げることの、二つがあります。
何かの達成を目指す人生を送っている人は、多くの場合に自分がやっていることに没頭し、
夢中になってフローの時間を過ごし、勝利を得ると、束の間でもポジティブな感情を得ます。
その過程で、達成度が少ないと、主観的「不幸感」に見舞われることもあります。
しかし、それは「意味・意義」と同じで、他者からみれば素晴らしい人生を送っているのかもしれません。
以上、おさらいですが、「意味・意義」、「ポジティブな関係性」、および「達成」は、
客観的かつ主観的な 構成要素を持つので、自分がどう感じるかだけではなく、
自分に関係のある人々が、自分についてどう感じているかが問題となります。
以上が、セリグマン教授の、ウェルビーイング理論です。
シンプルに私たちが学べる考え方をまとめます。
「ウェルビーイング感覚は、自分個人の主観的判断で喜んだり、悲しんだりするのではなく、
他者からの判断、周囲からの評価も考慮した、総合的なものなのだ」ということでしょう。
ウェルビーイングは「気分」だけで決めない
●ウェルビーイングは「気分」だけで決めない
従来の幸福理論は、主観的な幸福をどう測定するかの研究だったのが、ポジティブ心理学は
それに「客観測定」を加えたということは」前に述べたとおりです。
また注意しなければならないのは、周囲の目を意識しすぎると、そちらが行動基準、価値基準になってしまい、
振り回されて、不幸になってしまうことです。
ご用心です。
また、セリグマン教授は、多くの「幸福度・ウェルビーイング調査」への注意として、以下をあげてます。
「人々が報告する人生の満足度とは、質問されたまさにその瞬間に
「自分がどれくらいよい気分でいるか」に左右される、ということだった。
多くの人に平均して見られることだが、人生の満足度をどう報告するかは、
その70パーセント以上が、そのときどきの気分で決まるのであり、
頭で「判断」する割合は30パーセントにも満たない。
実に気分こそが、昔の人が俗悪と考えた幸せの形だった。、、
幸せを気分で考える見方は
「ポジティブ感情度の低い」世界の50パーセントの人々をものすごく不幸」 だと決めつけることになる。
気分の沈んだ世界の半分の人々は、たとえ陽気でなくても、 快活な人々よりもっと充実した、
有意義な人生を送っているかもしれないのだ 」。
まさに、ウェルビーイングは、その時の瞬間的な気分で判断してはいけないかという指摘です。
ウェルビーイングを補強する「強み」
●ウェルビーイングを補強する「強み」
5つの要素は、ウェルビーイング向上に不可欠な基本でしたが、これらを補強する要素が、他に多くあげられてます。
・自尊心
・楽観主義
・レジリエンス
・活力(バイタリティー)
・自己決定
・親切心
・社会的知能
・ユーモア
・勇気
・正直さ
などです。
そして、さらに最も大事なのは「強み」だと述べてます。
「人は、自分の最高の強みが、目の前に現れる最高の挑戦課題とかみ合うときにフロー状態となる。
強みがエンゲージメントにとどまらず五つの要素すべてを支えている」。
何が自分の強みなのか?
自分の強みを見つけようとは、よく言われることですが、大抵の場合には、競争力のあるビジネス構築のためです。
もちろんそれは正しいのですが、実はその奥に、
「最高のウェルビーイング達成のため」という意義があったのです!
「ポジティブ心理学の挑戦」では、「健康」はあげられてませんが、
世界的にウェルビーイングに健康は大事な要素だと認められてます。
ウェルビーイングの「新しい繁栄」
●ウェルビーイングの「新しい繁栄」
また、ウェルビーイングの最終目的として
「富とウェルビーイングとを組み合わせるもので、私はこれを「新しい繁栄」と呼ぶ」 とセリグマン教授は述べてます。
従来、GDPとウェルビーィング との間には大きな相違がありました。
個人ならば、豊富な富は人生の満足度には直結しますが、ウェルビーィングには直結しません。
国民全体ならば、国のGDPが増えても、幸福度、ウェルビーィング向上に必ずしも直結しません。
個人的な富の増大をウェルビーィング向上に結びつける理論は、比較的容易かと思いますが、
国家のGDP増大を、そのまま国民全体のウェルビーィング向上に結びつけるのは、容易ではないでしょう。
具体的な施策はこれからですが、「新しい繁栄」は、目指すべき「達成」であることは、間違いないことです。
セリグマン教授の理論は、学者として精緻に体系づけられていて、ハードルが高いと思う方もいるでしょう。
しかし、とても素朴なウェルビーイングへのエクササイズを提示してます。
「他人に親切にすることが、ウェルビーイング度を一時的に向上させる唯一最も信頼できる方法だ」。
私の「ウェルビーイング」
●私の「ウェルビーイング」
最後に、私個人のウェルビーイングへの心構えを述べてみます。
基本は、セリグマン教授のいうよう、人に親切にしてその悩みを解決し、苦しみをやわらげる。
↓
自分も相手も幸福になる。
↓
自分の強みを見つけ、その強みで相手の強みを発見し、多くの才能を育て、長続きする関係性を育てる。
↓
それが世間に意義深い貢献をすると信じる。
↓
それが持続的な幸福となる。
というものです。
「ウェルビーイングブログ」いかがだったでしょうか?
少しでも、人生のウェルビーイングに役立てば幸いです。
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